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魔王の弾丸  作者: eXi
第一章 出会いの書
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十四話 混沌の流儀

すみません、間違えて一つ先の作品を投稿してしまったため

例外的に本日は2本の投稿とさせていただきます。

大都市の片隅にあるダウンタウンとも呼べる場所に存在する

知る人ぞ知る魔道具専門店。


その店の中で商品を物色する見覚えのある一人の男と

全く店のことには興味がないと言わんばかりの

偏屈な爺さんがカウンターには座っていた。


その男といえば勝手に店の棚の上に置いてある陳列されていない

商品に手を伸ばしては確認しているところであった。


そんな陰気な場所に一輪の花が咲くかのようにロレーヌは颯爽と

店の中に入ってくると店主は少しだけ顔にシワが寄ったが

顔を確認するとその顔は平常運転に戻った。


一方のフリーナはと言うとある意味その場に馴染むかのように溶け込んでいた。

彼女にとってはものが雑然としていることは日常である。


店長はロレーヌの方を見ると横に細長いフレームのメガネをくいっと指で押し上げた。

「ロレーヌ、珍しいな。探し物か?」


しわがれた声で言うその声にロレーヌは答える。

「探し物と探し人かしらね、探し人のほうはズバリあたったみたいだけれども」


明らかにセリフからしてクリントのことを指しているのだが

クリントはまるでセリフが聞こえなかったかのように物色を続けていた。

その様子を見ても表面上はロレーヌは笑顔のまま店主に問いかけた。


「レヴィ、まだあんな輩を警備につけてるの? 客を選んでんだかなんだか知らないけど

 店が潰れても知らないわよ?」


レヴィと呼ばれた店主は顔色一つ変えず、ロレーヌの顔すら見ずに

手元で読み進めていた本を見ながら答えた。

「こっちが賃金を払わなくても勝手に警備してくれるから雇う手間が省けていい」


店の通り道に巣食う強盗を警備員だと言い張る店主に流石にロレーヌも呆れた表情をした。

ロレーヌは店主の方から目をそむけ、今度はクリントの方を見ていった。


「で、クリントは目的のものは見つかったのかしら?」

そういわれるとクリントは物色を続けながらもそっけなく答える

「いや、このジジイが物の整理をしないから一つずつ探すことになっててな

 まだ今のところ見つかっていない」


そんなクリントに対してロレーヌは近寄り、肩を叩いた。

「私にいい考えがあるわ、だから一旦店を出ましょう?」

意図がわからない。といった表情をクリントは浮かべたが

自信満々の顔で言われてなにかあるのだろうかとおもったのかクリントは大人しく

ロレーヌの言う事に従い店を出ることにした。


「さあ、フリーナも行くわよ!」


といってフリーナに目を向けた瞬間、フリーナは店の様々な道具に魅了されて

まったくと言っていいほどロレーヌやクリントのことを忘れて商品に没頭していた。

今度はフリーナの肩を叩きに行くロレーヌ。

「……フリーナ、なにか欲しいものがあったのかしら?」

そういうとフリーナは目を輝かせてロレーヌに答える。

「……このお店はすごいです! 宝の山ですよ!

 希少な道具に、珍しい魔法に関する書物など普通の店ではまず手に入らないものが

 沢山ありますよ!」


その言葉に店主は目を光らせる。

「ここの物の価値がわかる奴は少ないからな。

 次からはあんたも通れるように外の馬鹿どもには言いつけておいてやる。

 好きな時に来るといい」


そう言われると溢れんばかりの笑顔になるフリーナ。

「本当ですか! 可能なら一日中でもいたいぐらいですよ!

 ロレーヌさんもう少しこのお店をみてってもいいですか!?」


完全に店の虜になってしまっているフリーナをみて顔に手を当てて

やれやれという表情をロレーヌはしていた。


口元に手を当ててコホンというとロレーヌはフリーナに言う。

「来たいならまたいつでも来れるわ。今日は私としては貴方の道具を壊してしまったことへの

 謝罪のかわりに修理用のアイテムをなんとしても渡してあげたいと思ってるのよね。

 だから今日は一旦このお店は後にしましょう?」


しかしフリーナはガッツリと本を握りしめていた。

そんな様子を知ってか知らずか店長はいった。


「その本はもうワシは読み終わったからな、後で返してくれるならタダで持っていっていいぞ」

「本当ですか?! ありがとうございます!」


フリーナは興味があることになると止められない性格であることを認識した

ロレーヌは流石にいつもの営業スマイルが剥がれ落ち、やれやれと言った表情である。

一方のクリントはいつもどおりの真顔でやり取りを眺めていた。





店の帰り道、例のチンピラは街の入口側から見えない場所でしゃがんで休憩しいていた。

ロレーヌの姿を見ると表面上はにこやかな笑顔をしてきたがその額には汗が滲んでいた。


ロレーヌはそこで思った疑問を口にする。

「クリント、そういえばあんた、あのならず者たちには何かされなかったの?

 まぁ貴方が負けるとは到底思えないけれども」


そういうロレーヌに涼しい顔をしてクリントは言った。

「一々俺に構う風変わりはアンタぐらいだ、まともなやつは俺に話しかけてこない」

「悪党にも嫌われてるとは流石だわね……」





こうして一同は場所を再び工房を場所に移動した。

長身痩躯の男は相変わらず作業台を前にして図面とにらみ合いをしている。

なんとなく楽しげな女性陣二人に対してクリントは憮然とした表情をしていた。


「それで? 俺をこんなむさ苦しい所に連れてきて何の用だ?」

クリントはフリーナをみずにロレーヌだけに目線を送り話す。

そんなクリントを見てフリーナは顔はボケーっとした表情をしていたが

ロレーヌはやれやれといったポーズをしてクリントに

そんな事もわからないのかと言いたげに話を始めた。


「クリント、あなたの魔法で水晶球を作り出してほしいの」

「……不可能だ」

苦虫を潰したような表情をしつつクリントは言うが

ロレーヌは自信アリ気な表情をし続ける。


「あなたは自分の魔法を『召喚魔法』だとおもってるようだけれども、違うかしら?」

「……」

クリントは声には出さないがまっすぐに見つめる真顔を回答とした。


「もちろん召喚魔法のカテゴリーに分類するのは間違っては居ないわ。

 様々な物や生物、果には神話上の生物を召喚する魔法もあるときく。

 ただこれらはすべて原理やルールがあるのよ」


説明するロレーヌに対してクリントはそのまま真顔で話を聞いていた。

またフリーナも興味深そうにロレーヌの話に注視する。


「あなたの魔法のルールはイメージしたものを具現化する事。

 正直召喚というよりは無から有を作り出す、想像魔法とか構築魔法といったほうが

 私からするとしっくり来るわね」


そのセリフに初めてクリントは口を開く。


「確かに俺はイメージしたものを具現化するのが実際にやっていることだが

 結局無いものを有るものとして『召喚』しているということにはならないのか?」


そこに今まで黙って聞いていた長身の男、ミデサンが叫び始めた。


「ノン、ノン! それは全く違いますぞ!」


ミデサンはいささか興奮気味に、黒板を引っ張り出して

右手にチョークを持ちながら言葉を話し始める。


「いいですかな、召喚魔法と一言に言っても色々ありますが

 一般的にどこにでもいいですが、存在するもの……」


そういうとミデサンは◯を黒板に書き、距離をおいた場所に棒人間を書いた。


「これを自らのもとに呼び出す、これが最もポピュラーな召喚魔法です」


丸のマークを棒人間の手に矢印を引っ張って、引き寄せた様子を描写した。

それをみてクリントは言った。

「それは召喚ではなく転移ではないのか?」

そんなクリントに対してチョークを顔面に突きつけて大げさに話すミデサン。

「その通り! 召喚とは魔法でなくとも言葉の意味は『呼び出す』ことであり

 呼び出すということは呼び出される『元』が存在するものなのです。

 大抵の召喚魔法使いは元々有るものを自分の手元に召喚するものなのです!」


というとミデサンは棒人間をチョークで丸く囲った。

その言葉にロレーヌは続く。

「そう、普通はそうなんだけど彼の場合は明らかにこの世界に存在しないと思われる

 物質を形作っていたわ。つまり彼はこの世に存在しなくてもイメージできれば

 それを『召喚』できるのよ、違うかしら?クリント」


その言葉に目を丸くして、ギョロギョロッと目を右往左往させたあと

ミデサンはメガネをくいっと指で持ち上げて言う。


「いくら魔法とはいえそのような『無法』が行えるのはかなり特異な例ですぞ?!」


そのように言葉を突きつけられるとクリントは最初は横を向き

何を言うか迷っていたようだが顔に手を当てて困っているようであった。


「確かに俺は恐らくこの世に存在しない物を『召喚』しているかもしれない。

 だがそのイメージは少しでも破綻していたらいけないんだ。

 あるいは破綻している部分は魔力で形どったりすることで補っている。

 精巧なものほどイメージするのは難しく、またそれを『固定化』するのは

 極めて膨大な魔力を要求されるのはこの間説明したとおりだ」


それを聞き、「おぉ、なるほど!」と納得するミデサンと

「いいアイデアでしょ?」と人差し指を立ててアピールするロレーヌ。

「たしかにそれなら行けるかもしれません!」と喜ぶフリーナ。


クリントは一体お前らは何を言っているんだと呆れた顔をしていたが

その回答をロレーヌは示した。


「精巧なものが難しいなら簡単なものほど生成が簡単なのよね?

 つまり石英で構成されて不純物のない真球状の物質の召喚。

 これはあなたが最も得意とする分野ということよ」


そういうロレーヌに対してクリントは頭を掻きつつ言う。


「確かにお前たちの言うとおりだが今までやったことないからなぁ。

 ……まぁヤンのジジイがやらかした責任も取ってやらんといけないし

 試してみるけど……失敗しても文句を言うなよ?」


そんな自信なさげなクリントに対してロレーヌは自信満々の表情で言った。


「ふふっ、こう見えても私、見立てを誤ったことはあまりないのよ?」


やれやれだぜといった表情でクリントはロレーヌを見返した。

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