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魔王の弾丸  作者: eXi
第一章 出会いの書
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十三話 魔道具専門店

不敵な笑みを浮かべるロレーヌと不安げな表情を浮かべるフリーナ。

彼女たちはとある人物を探すべく街の市場を散策して回っていた。

時間は昼下がりを迎えており、牽引するロレーヌは少し慌ただしく動いていた。


「ろ、ロレーヌさん、一体誰をさ、探しているんですか?!」


んー、と考える素振りをしつつも微笑む彼女は

「内緒! あってからのお楽しみよ」

とだけ言うのであった。


市場を駆け抜けるロレーヌだが交易商としても抜け目はない。

ちゃっかりとお買い得の商品を見つけては大量の物資を購入し

定期的に幌馬車にそれを積み込むことを繰り返していた。


幌馬車に戻るたびにロレーヌはあたりを都度見回していたが

彼女の求める人物はどうやら周囲には居ないらしい。


「あの……ロレーヌさん?」

相変わらずおどおどとした表情のフリーナはボサボサっとした黒髪が

無造作に伸び散らかしており、表情までなんとなく暗く見えてしまう。

「ああ、ごめんなさいね、流石に私も仕事は仕事で進めないといけないから

 どうしても貴方の探すものとそこは並行作業になってしまうのだけれども……」


そういうロレーヌはあくまでもテキパキと仕事をこなす。

私生活を重視した民族衣装としての一面より、踊り子としての妖艶さを醸し出すために

露出の多いガラベイヤを着込んだ身動きの取りにくい服装をしながらも

身だしなみが乱れること無く動き回る様は仕事人としての有り様を感じさせられる。


「ひょっとして……探している方というのはクリントさんか、ヤンさんですか?」


そういわれ、少し驚いたような表情をしつつも微笑み答えるロレーヌ。

「あーわかっちゃった? 探してるのはクリントよ」

「く、クリントさん……いつもあまり喋らない方ですが……

 彼が腰にぶら下げている変わった道具が気になってました」


少し考えるように彼女は腕組みをした後、手を口周りに当てつつ答える。


「私もよくわかってないし、何よりあいつ人に自分のこと言われるの嫌いそうなのよねぇ。

 ただアイツ、子どもに優しいし、フリーナが直接聞いたほうが

 多分いろいろ教えてくれるわよ?」


そんなロレーヌの愚痴にもにた発言に対してフリーナはおどおどしつつも言う。


「私もあまりクリントさんのこと、わからないですけれど

 少なくともロレーヌさんのことは嫌ってないというか、なんというかその……

 たぶんどちらかといえば好きというかーーいや気に入っているって

 言ったほうがいいんですかね?」


少しうつむき加減の顔だが目線は上目遣いでフリーナはロレーヌに対して見つめていた。

そんなフリーナの発言に対してすこしキョトンとしてフリーナは聞いていたが

苦笑いをするようにして、荷物の積み落としをしつつロレーヌは語る。


「私もね……彼のことぜーんぜんわかってないんだけれども

 確かに嫌われてはいないと思ってるわ。

 本心はぜんぜんわからないけれどもね」


ロレーヌはいつもの営業スマイルで答える。

そんな笑顔に対しても、どのような対応がベストなのかわからない様子のフリーナは

あたふたしつつも答える。


「クリントさんっていつも馬車の中で待機してるイメージでしたが

 今日は誰も馬車にいませんね」


ヤンはいつも自由行動ーーというよりほとんど飲み歩いてるだけに近いのだが

クリントは大抵馬車の護衛で馬車から離れることは殆どなかった。


かといい、ここは城塞都市。

街中に衛兵が歩き回り、幌馬車が止めてある場所も都市一番の宿泊施設である。

なにより本当に危険があるのであれば彼はこの場を離れることをしないであろうという

確信にもちかい信頼が仲間の中で彼にはあったと言えるだろう。


ロレーヌは顔に手を当てて考え込んでいた。

その様子にフリーナもあたふたとしながらも心配そうにロレーヌを覗き込んでいた。

ロレーヌにしては難しい顔をしたままであったが彼女は考えを口にした。


「このまま待っていても多分戻ってくる気がするけど

 フリーナ、貴方としても少しでも早く修理に取り掛かりたいわよね?」


その問いに大きくうなづいて答えるフリーナ。


「ひょっとしてだけど彼が行きそうな場所が少しだけ心当たりがあるわ。

 ただちょっと一人で行くと歩きにくそうな場所なんだけれども……

 貴方も着いてくる?」

「いきます!」

フリーナは元気にロレーヌの顔を見て言うのをみて満足げな表情をした。











光あるところに闇はあり、光が強ければ強いほど影は色濃くなる。

要塞都市サガルマルドにも多くはないが治安が悪い場所は確かに存在した。


レヴィズマーケットと書かれたその商店は大商店と大商店の間

細い路地を通り抜けた先にあった、太陽の光りがほぼ当たらない場所に存在した。

そんな細路地でロレーヌとフリーナは二人のチンピラに取り囲まれていた。


身なりからして服装もみすぼらしく、薄汚れているがそれぞれ手には

ナイフが一本ずつ、明らかに相手を襲うことを前提としたそれは

手入れが行き届いておらず鈍い光を放っている。


二人の男はナイフを構えるでもなく、それを見せつけて何も言わずに

ニタニタと笑っていた。


その不気味さにフリーナはロレーヌの後ろに後ずさるが

ロレーヌは「冷たい」真顔で彼らを眺めている。

ニタニタ笑うだけで男二人は明らかに奥にある商店への細道を塞ぎ続けていた。


「何か御用でもありますか?」

その言葉を発するロレーヌにいつもの営業スマイルはない。

すると、ニタニタと笑っていた男の一人は言う。


「実はな……ここは通るのに交通量が必要なんだよ」

さらに男は誇示するようにナイフをロレーヌに突き出すようにした。

そういう彼らにロレーヌは腰に下げた袋の中に手を伸ばす。


「いくら必要なんですか?」

落ち着いた声でいいはなつロレーヌにフリーナは悲鳴に似も似た声を上げる。

「え! 払うんですか!?」

そんなフリーナにいきり立ったように男の一人は激しい声を上げた。

「うるせえ! ガキは黙ってろ! 一人当たり金貨1枚だ」


金貨一枚……明らかに法外な金額である。それを聞いた瞬間ロレーヌの手は止まり

ロレーヌの両手は瞬時に両手を交差するように左右の短刀に手が伸びる。


戦いの予兆、ロレーヌの動きは早かったが独特の交差する腕からの

左右の短刀に手を伸ばす動作はチンピラたちからも交戦の意思を伝えるに十分すぎた。

男たちはロレーヌにナイフで二人同時に襲いかかったが

ロレーヌはまるで二人を幻惑するかのように体を回転させながら後退してナイフを抜き

急に逆回転をして再び前進すると二人のナイフを短刀で両方とも一撃で叩き落とした。


そのまま優雅な雰囲気を漂わせながら短刀を構えるロレーヌ。

男たちは慌ててナイフを拾おうとしたが片方はロレーヌが足で蹴り飛ばして

遠くに飛んでいき、もう片方は伸ばす手自体をロレーヌがヒールの鋭い靴で

踵で思い切り踏み潰した。


手を踏みつけられた男は悶絶したが、最後の意地なのか声だけはあげなかった。

片手を踏みつけられてかがみ込む男に対してロレーヌは冷たい笑顔を見せて言う。

「で、通行料はまだ必要かしら? もう少し支払ってあげてもいいですけれども?」


手の痛みからから踏み潰されている男はひたいに汗を流しながしている。

その間にもロレーヌは手の甲をヒールの踵でグリグリとえぐりながら力を込めている。


「……わかった、十分通行料は貰った、だからその足をどけてくれ」


そういわれるとロレーヌはようやく足を手の上からどけて左右の短刀を

鞘に戻した。いささか乱れた服装を軽く整え直すと彼女はフリーナに振り向き言う。


「じゃあ、通っていいらしいから行きましょうか!」

そんなロレーヌにたいしてフリーナは呆然としていたが

声をかけられて慌てて反応する。

「わ、わかりました、行きましょう!」





二人の男たちはもうそれ以上ロレーヌたちを追いかけてくることはなかった。




ロレーヌがドアを開けるとドアチャイムがガランガランと音を鳴らす。

中は如何にも老舗といった感じの雑貨屋であり、明かりは最低限しか灯っておらず

非常に陰気な雰囲気の店である。


そしてその店の中に、商品を物色する目的の男……クリントは居た。

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