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楊の願い

神だと。神が本当にいたのか。俺の人生の中で一番衝撃的であるにちがいない。つまらない人生に終止符を打てる。いや待て。ここで感情的になるのはよくない。ただでさえ非現実的なことが起きているのだから。何が起こるかわからない。でも、この状況なのに気持ちが興奮し高揚している自分がいる。一旦落ち着こう。深呼吸だ。


俺は何回か深呼吸して冷静さを取り戻した。まず、あいつが神であることは間違いないだろう。こんな神秘的な空間は地球では考えづらい。背中から羽が生えているし、まとっている雰囲気が神々しい。だが、俺の直感が言っている。こいつは危ない。危険だと。



危なしのは承知のだが、自分から行動しなければ何も始まらないのも事実だ。あっちから何も応答がない。まるで、俺から話せと誘っているようにも見える。



「神タナリアよ。いくつか質問してもいいか」

俺は胸をはって言ったが内心はかなり萎縮していた。神と対話しようとしているのだ、こうなるのも仕方ないだろう。

「いいでしょう」

了承を得た俺は疑問に思っていることを口にした。


「まず一つ目だが俺は死んだのか?」

「いや、死んでいません。我が呼び出したのです」

「そうか安心したよ。死でいたらもう親父とおふくろには会えないからな」

死んでいたら唯一の心残りになってしまうかな。

「じゃあここはどこなんだ?」

「ここは天界です。下界とはまた違う次元なのですよ」

天界と下界があるのか。神話とかでは天界が存在すると書いてあったが、本当にあるとはな。では、天界に神々がいるってことなのか。



「次の質問だが、俺は神を信じていなかった。日本人ていう理由もあると思うが、空想上のものだと思ってんだ。天界に神々いるっていうことで合っているのか?」

素朴な疑問だ。

「天界に神々はいますよ。でも、統治している場所には任命されている神しかいません。宇宙を統治しているのがゼウス様であり、私は太陽系を調停しているのです。任命されているところには神が干渉することが出来ます。こうして我があなたをここへ呼び出せるのもそのおかげなのです。もう一つ例を挙げるのなら、物理法則を知っていますか?」

「知っているとも」

確か昔の物理学者が発見したはずだ。それがどう関係しているんだ。

「物理法則や物理限界の速度、重力は全てゼウス様が創造したものです。ですから、下界にいる限り適応されるのですよ」


宇宙にも神がいて、それぞれを神々が調停しているということか。地球に干渉できるのはこいつしかいない。しかも、有名な物理学者たちが発見した理論は全て神が創造したものだったのか。驚いたぜ。だが、同時に恐怖を感じる。神にここまでの力があり、この世の理ですら、神の創造したものだから。



「最後の質問だ。なぜ、俺がここに呼ばれたんだ」

俺が一番気になるのはこの質問だ。なぜ、選ばれたのか。これから何が起こるのか。今はそれが大事だ。


「それは、私があなたの願いを手伝うためですよ。あなたはつまらない人生を何とかしたいと思っていますよね。それを手伝うと言っているのです。お分かりできますよね。」

「なんでもお見通しってことか」

手伝うっていうのは建前だろうな。俺は疑り深い性格で、最悪のケースを想像してしまう。だから、本当は飛んでもないことに巻き込もうとしていることがばればれだ。何も知らない俺に対して見返りなしで神が手伝うはずがない。ならかの代償がいるはずだ。


でも、学校つうのに縛られていた。つまらない人生に縛られていた。もう、何かに縛られるのはごめんだ。この神がやばいやつであるのは間違いないが、このチャンスを逃せば一生こんなことはないだろう。


「手伝ってくれるんだろ」

「もちろんですとも」

神は微笑みながら言った。

俺は一呼吸して叫んだのだ。

「俺に、“自由”をくれ!」



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