よろず屋 3品目
女の子は驚いた様子でこちらを見つめた
「そこの女の子ってうちの事か?」
「女の子っていうか…あなたしか周りにいないよ」
茜は女の子に言った
女の子はまた不思議そうにこちらに質問をした
「うちの事みえてるん?」
「見えてるよ」
「おかしいねんけどなぁ…」
この人がうちの事見えてるのが不思議、と言わんばかりに女の子はまだびっくりしている
「あんた、どっかの寺生まれか?」
「いいや、私は普通の家に生まれてるよ」
続けて女の子が言った
「普通の人や普通の霊感がある人はうちの事みえへんはずなんやが…あんたそこそこ霊感強いんやな…」
「???」
茜の頭の中はハテナでいっぱいだった
「うちは言わば妖怪?、幽霊?、みたいなもんなんや」
「だからさっきのそれ…」
茜はさっき女の子が悪霊を封印した箱を指した
「あぁ、そうや」「それと、うーん…悩むなぁ」
「どうしたの?」
「いやうちの姿見られたし、あんたをこっちで雇おうかなって思っとってな」
茜は急に働かされると話を進められていたのでびっくりしていた
「え?私いつ働くって言ったっけ」
「ん?あんた、ここに残りたいなら別に私は店に帰るけど…あんた帰るとこないやん」
茜はその言葉にグサッときた
学校に帰れば虐められ、家に帰れば殴られ、暴言を吐かれる。
その女の子が言うことは確かに正しかった
「で、どうするん?もし働くんならこっちの【異世界】に来てもらうんやけど」
「…」
茜はもうこの世界が嫌いだった
だからこの誘いは新たに人生を始めるチャンスと思った
「私もそこで働く!」
「よーし、こき使ってやるから覚悟しとき!」
「あ、自己紹介してなかったな、私は怪夢店長で社長でもあるで!」
誇った顔で怪夢は言った
「私は寺山茜です。」
「そうか、じゃあ茜!早速うちらの世界に行くぞ!」