#1 友人には用心を
※ストーキング、ストーカー行為は犯罪です。くれぐれも真似をしないよう、お願い致します。
部屋に入り、見渡す。
その部屋は壁一面に自分の画像が貼られていた…。
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キーンコーンカーンコーン
「よっしゃ終わったー!」
「相変わらず騒がしい奴だなぁ…」
「うっせ、それより飯だ飯」
授業が終わり昼休みに入る。
日頃の学校生活の中で思いっきり羽をのばせるのはこの時間ぐらいしかない。
「お前は今日購買行く?」
「うーん…俺はいいy…」
俺が言葉を言い終わる前に目の前を人が通り過ぎる。
黒く艶のある長い髪。
その長い髪を後ろで束ねてポニーテールにしている。
一目見ただけで分かる。
「彼女」だと。
その瞬間、俺は言おうとしていた言葉を呑み込み新たに言葉を発した。
「…やっぱ俺も行くわ」
「お前が購買に行くなんて珍しいな、もしや弁当忘れたな?」
「ちゃうわ」
「じゃあまたなんで?」
「久しぶりに行きたいんだよ」
我ながら苦しい言い訳だと思う。
「ふーん、まぁいいやさっさと行くぞ!」
「おう」
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(さて、どこへ行ったのだろうか?)
俺は完全に「彼女」を見失ってしまった。
「おばちゃんー!焼きそばパン1つー!」
「あっ、俺も焼きそばパンで」
(まぁ…しつこく付き纏ったら、それこそストーカーみたいだしいいか。)
「はい焼きそばパンね。2つで240円」
「んじゃ…これで!」
「はい、ちょうど240円ね。ありがとうございました。」
俺たちは昼飯を買い終え、教室へ戻った。
「それにしても…」
「ん、どうした?」
「いや、なんでもない」
(結局会えなかった…)
「そういえばさ」
「ん?」
「お前って月潟さんの事、どう思ってんの?」
(っ…!)
一瞬動揺したが、すぐさま冷静さを取り戻し答えた。
「なんでそんな事聞くんだ?」
「いやお前、いつも目線が月潟さんの方に向いているって言うか…なんか気にしてんのかなと思って」
「…いや別に?」
「そうか…ならいいか!」
(こいつ…単純だと思ってたけど案外侮れないな…)
「それにしてもお前はいいよなー」
「なにが?」
「俺より成績が遥かに上ってことだよ!」
「…そうか?別に普通じゃね?」
「うわ、ムカつくわー、俺この前のテスト半分ぐらい赤点だったんだぞ!」
「それは勉強しないお前が悪くね?」
「それ、俺が勉強しないことを知ってて言ってるか?」
「それは悪かった」
(まぁ…俺も叶わない相手がいるけどな…)
世の中には他に天才と呼ばれる人はいるのだ、そんな人たちに比べたら、俺はまだまだ凡人だな…
そう思いながら、俺は焼きそばパンを食べ始めた。