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「先生」との出会い(1)

怪異は霧のように突如姿を現し、夢うつつのごときもの。

人と人との縁も然り。

されば人生も春眠のごとく、目覚めしときには怪異が立ちはだかん。




僕が「先生」と出会ったのは、桜が咲き始めたころだった。


大学のキャンパスには、新入生を少しでも確保しようと勧誘合戦が繰り広げられている。


ビラには、テニス・フットサル・アメフト・料理研究会・演劇などさまざまなサークルの人数と活動内容が所狭しと書かれている。



「似たようなサークルばっかりだな」

思わず、ため息まじりにつぶやいた。


せっかく、晴れて大学生になったのだ。高校の部活の延長などまっぴらごめんだ。


「これといったのもないしなぁ、、、」

ビラをひっくり返すと、みんな一様に笑顔の集合写真が貼り付けられていた。


正直こんな写真を貼られても、可愛い子を探すぐらいしか用途がない。


なんだか早くも、期待していた大学生活が代わり映えのないように思え、しらけてしまった。


「あぁ、バイトでも探すか」


「ねぇ」


そのとき、急に背後から声をかけられた。


振り向くと白い花柄のワンピースを着た女の子が立っている。


「、、、くれない?」


恥ずかしがり屋なのか。消え入りそうな声で一生懸命なにかを言っている。


「え?どうかしたの?」

「、、、てくれない?」


「あぁ、、、ごめん。サークルは入る気ないんだ」

勧誘にうんざりした僕はすぐに答えた。


「それに、飯食べにいきたいんだよね、ってもういないし」

すぐに周りを見渡したが、もう女の子は見あたらなかった。


「おっかしいなぁ。見た目からして文化系のサークルかぁ?可愛い感じだったから、話ぐらい聞けば良かったかな」

大きな看板を抱えた勧誘の集団が、邪魔だと言わんばかりに横を通過する。


僕は、受け取ったビラの山をカバンに突っ込むと、喧騒のキャンパスをあとにすることにした。


ほんのわずかだが、土の湿った匂いがした気がした。



その日の夜のことだった。僕は夢を見た。

大学の土手。桜並木が広がっている。

花見の人たちで、賑わってもいいのだが周りには誰もいない。

太い桜の大木に近付くと、薄いピンクの花びらが揺らめいていて綺麗だった。


そのとき、ふと


「ねぇ」

声をかけられた。


振り向くと、昼間の女の子が背後に立っていた。


「、、、くれない?」


白い花柄のワンピースは同じだが、今度はうつむき加減にぼそぼそ何か言っている。


ぎょっとして立ち尽くしていると、


「、、、してくれない?」

じりっと近づいてきた。


嫌な予感がした。


このまま見たらダメだ。声を聞くのもマズい。


「さ、、、、してくれない?」

女の子は、気づけばすぐ近くに立っていた。


「な、なんだよ、、、おい」

情けない声が出る。


目を合わせまいと、下を向いたときに気づいた。

花柄に見えたワンピースは、花柄なんかではなかった。

どす黒い血。大量の血が、真っ白のワンピースを染めていた。


ぎぎ、、、、、



俯いた頭をゆっくりとこちらの下から覗きこむようにもたげてくる。



さめろさめろさめろ。早く夢からさめろ。



ぎぎぎぎぎ



まずいまずいまずい。焦るせいか、夢だと分かっても起きることができない。手に自然と力が入る。


女の頭がゆっくりこちらを覗きこむ瞬間



「うぁああああああああ」

バッと布団をめくり飛び起きた。



はぁ、、、はぁ、、、



額には汗をかき、手は固く握ったまま小刻みに震えていた。

ゆ、夢だったか、、、


ドクドクと脈打つ心臓を整えながら布団から出ようとした瞬間




「さがしてくれない?」



女の低い声がすぐ耳もとで聞こえた。


僕はそこで気を失った。



はじめまして。公大と申します。

小説など書いたことがなく、ましてや人様にお見せしたことなどないのですが、思い切って書いてみることにしました。

お目汚ししてしまうかも知れませんが、感想など頂けたら、励みになるため幸いです。

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