ヘンリーに突貫します。3
あるお願いをします。
ヘンリーが極度のシスコンに至ったもう一つの原因。
それは、歳が離れレティシアに注意をするヘンリーよりも、一つしか歳が変わらずひたすら甘いだけのダニエルにだけレティシアが懐いているという事実だ。
話は簡単で、レティシアはダニエルに怒られた事がないからというだけなのだが。
つまり、ヘンリーにも良い感じで可愛い妹として振る舞っていれば、地雷を踏む確率は各段に下がるはずなのである。
そう思い至ってしまえば簡単な話なので、ヘンリーお兄様にレティシアとしてお願いをしようと考えた次第なのである。
「実はヘンリーお兄様にお願いしたい事がありまして…。」
「ふふ。なんだい?」
「私、魔法が全然駄目じゃないですか。先生は、私には魔力がかなりあるから、その力をコントロールして形にするだけだとおっしゃられるのですけど、どうも上手く出来なくて…。いつも魔術部屋で霧散してしまうんです。」
「魔術部屋は失敗した魔法は消えるよう術が込められているからね。」
お兄様は優しく笑う。
「そこで、ヘンリーお兄様に上手くコントロール出来るよう教えて頂きたいのです。毎日でなくて構いません。ヘンリーお兄様の都合が付く時で構いませんので、お願いできますか?」
効くかわからないけど、上目遣いでお願いしてみる。
「レティの頼み事を僕が断るわけ無いだろう。もちろん引き受けるよ。その代わり、厳しくしても音を上げるんじゃないよ?」
そう言って嬉しそうに笑った。
うん。蝶のエフェクトが見える。
「で、レティは魔法をどう使いこなしたいんだい?」
「一般的な部分で言えば、自分の身は自分で守れるレベルの攻撃と防御が使いこなせれば良いのですけど。他には、同調術も使えるととても便利だと思うんです。」
「同調術?なんでまた?」
「万が一不測の事態が起きても、水属性の人間が同調術を使えればかなりの強みになります。ヘンリーお兄様もダニエルお兄様も同調術は得意でしょう?1人でも多いほうが将来のためになります。なので、私もと思ったのですが。」
ヘンリーお兄様は少し考えるそぶりを見せたものの最終的には了承してくれた。
そして、早速明日から特訓を始める事になった。
ここまでお付き合い頂きありがとうございます。