皇太子ルートを思い出す 1
皇太子ルート、確認しにいきます。
そのあとの私の行動は早かった。
寝巻きから着替え、まずリサに謝った。
「我が儘ばかりで、いばり散らしてごめんなさい!オルゴールなんて投げつけて、怪我をさせてごめんなさい!」
土下座する勢いで謝った。
起きてからずっと私の側にいたリサだったが、やっぱり驚かれた。
「お嬢様…。」
絶句して、お化けでも見たような顔をされると、さすがに傷つく。
「もう、リサを困らせる様な事は絶対にしないわ!」
両手を組み、上目遣いでリサを見る。
リサの顔が何やら赤くなったが、しどろもどろに謝罪を受け取ってくれた。
そのあと、使用人1人1人に直接謝りに行った後、もう一度皇太子の顔を見るべく、お父様の書斎に向かった。
ノックをし、部屋に入る。快く迎えたくれたお父様に、もう一度皇太子の肖像画を見たいとお願いし、見せてもらった。
乙女ゲームでは16歳だったので、記憶よりもまだまだ幼い。
でも、あーこいつだったなと納得した。
見た目はさっき確認したから省くとして、中身はどうだったかと思い出す。
文武両道、才色兼備、何をやらせてもパーフェクトにそつなくこなすハイスペック男子。
未来を約束された少年は、ただ、1つだけ誰にも言えない秘密があった。
余りに良く出来たせいで、世の中何一つ面白味を感じなくなってしまった。
胸の高鳴りも、高揚感も無く、さりとて淋しさや悲しさも感じない。
幼い内からそんな日々が続いた結果、色を見ることが出来なくなったのだ。
ある日突然、世界がモノクロになってしまった。
それをひた隠しにしていたが、婚約者であるレティシアにばれ、婚約破棄をしたらばらすと、半ば脅されながら好きでもないのに婚約を続けていた。
そして学園で出会ったヒロインと想いを通わせた時、モノクロだった世界に色が戻り、婚約破棄をしてレティシアを断罪するのだ。
レティシアもつくづく嫌われたもんよね。
さて、確かこのタイミングでゲーム内のレティシアはお父様に皇太子との婚約をせがむんだったな。
「レティ、どうした?皇太子の事が気に入ったのかい?」
「いいえ全く!」
「え?レティなら気に入ったと言うと思ったんだが…。」
「確かに、素敵な方だと思いますが、お父様に勝る方ではございませんわ。」
お父様の目を見て答えると、こちらが大丈夫かと思うくらいデレデレの顔になるお父様。
余程嬉しかったらしい、お願いしてもいないのに、さっさとお茶の準備の指示を出して、ケーキまで用意してくれた。
好物のイチゴのケーキを食べて、お父様と色々話をしたあと、書斎を後にした。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。




