レオナルドが突撃してきた。2
レオナルドの請われるまま我がアルバイン家が誇る庭園を案内する事になった。
我が家系は青いものが本当に好きで、庭園も濃淡有るけれども花は全てに置いて『青』なのである。ネモフィラに勿忘草、デルフィニウムやアガパンサス等、もちろんブルースターもある。
季節によって花は変わっても、ウチの庭は基本青一色なのである。
近年青い薔薇が品種改良で作られたと聞き、お父様が苗を手に入れて庭園に植えたと言っていた。来年辺り咲く予定なのだとか。
「この辺りはアジサイですね〜。咲くとこの一面がアジサイで綺麗になるんですよ。」
などと言いながら、離してくれそうにない右手とレオナルドの顔を交互に見た。
「どの花も素晴らしく綺麗で可憐ですが、レティシアには負けますね。」
私の目をみて嬉しそうに言ってくれるが、色が分からないのによく言うよ。と内心突っ込む。
実は色が見えているかいないかは、さり気なく先程チェックさせて頂いた。ゲームでレティシアがやっていたやり方と一緒の事をしたのである。
青い花の中に1つだけ赤い花が混じって咲いている場所が有ったので、「ここの花も青で統一されていて綺麗でしょう?」と言ったのだ。
見えていればすぐ分かる事なのにレオナルドは気が付かなかった、つまりゲームと同じで世界がモノクロなのだ。だまし討ちみたいで気が引けるが、私の今後が掛かっているので致し方無い。
やはり、ヒロインと出会ってヒロインに心を奪われて初めて、ヒロインだけカラー版でお届けされる目になるのだ。そこまで行ってしまうと多分ドSも開花してしまうやも知れない。
「レティシア。あちらの東屋でお茶でも飲みませんか?」
「良いですよ。」
良い加減疲れてきたので、レオナルドの提案に乗っかってみた。
ティータイムを初めてしばし、あまり喋らないと思っていたのに意外とよく喋ると言うか、私にの事を色々と聞いてくる。
好きな物や嫌いな物、趣味嗜好、誕生日などまるでお見合いのようだ。私はゲームの知識が有るので知っているとは言え、こちらからなにも聞かないと逆にマズいので、それなりに質問をしている。
お兄様達はと言うと、従者よろしく近くで立っている。庭園を見ているときからずっと付いてきてる。
話の流れで、私が苺のケーキが好きだと言うと、皇室お抱えのパティシエが作った物を持ってくることを私に約束した後、また少し嬉しそうに笑った彼は、私の手を取ると力強く宣言した。
「レティシアの事はこれからずっと僕が護ります。」
「……………はい。」
「婚約発表は2週間後で構いませんか?ドレスはこちらで用意しますので。」
「2週間後ですか!?早すぎません?」
「そんなことは無いですよ。ドレスも招待客の手配も全て僕がやりますから、レティシアはここで僕を待っていてくれるだけで良いんです。」
「はぁ、そうですか…分かりました。」
ツッコむ気力も失せ、ただただ頷く事しか出来なかった。
ここまでお付き合いいただきありがとうございます。




