家族の絆を取り戻す。
40前のロリババァ誕生です。
驚愕の衝撃に倒れた私は、熱が上がりそのまま三日間寝込んでしまった。
熱が下がって、ようやくベッドに起き上がれる様になった私は、30年分の前世の記憶をばっちり思い出した、レティシア・アルバイン公爵令嬢になっていた。
レティシアとしての自覚と言うか、自我もしっかりあったので、この世界に生まれてからの8年間は、決して誉められたモノではなかった事実に、頭を抱えたくなった。
乙女ゲームで、とんでも悪女だった事はとりあえず置いておいて…。
今までの悪行の数々を、とにかく謝らなければ!人格が変わったと驚かれるかもしれないが、とにかく、一番迷惑を掛けて怪我までさせたリサを筆頭に、私の被害者である家の使用人たちに謝ろう!そう思った。
そして、今目の前にいる大切な家族に謝罪と気持ちを伝えよう。
私のベッドの周りには、お父様、お母様、そしてお兄様たちが取り囲んでいる。
「やっと起き上がれる様になって良かった!」
お父様は真っ赤な目で、泣きそうな笑顔で私の頭を撫でる。
お母様も、お兄様たちもほっとした顔をしている。
そりゃ、さっきまで元気いっぱいで悪魔ぶりを発揮していた娘が、絵を見たとたんぶっ倒れて熱出して寝込んだら、ビックリどころの騒ぎでは済まなかったろう。
「レティが倒れて、急いで医者を呼んで診てもらったんだが、原因不明と言われてね。解熱剤と栄養剤だけは出してくれたけど、思わずヤブ医者!と叫びそうになったよ。」
「無事、目も覚めましたし大丈夫ですわ。ご心配お掛けしました。」
そう言って微笑みながら頭を下げる。
今までの私なら絶対に言わない台詞に全員が固まってしまった。
「今まで沢山ご迷惑をお掛けしました。申し訳ございませんでした。我が儘では済まされない数々の諸行、お許しくださいませ。」
皆の目を見て、そう言って深々と頭を下げた。
「お父様、お母様、ヘンリーお兄様、ダニエルお兄様。大好きです!」
ありったけの謝罪と感謝の気持ちを伝えた。
皆固まってしまったけど、気持ちが伝わったのか笑顔になり、最近距離を感じていたお母様も目に涙を浮かべた。
「最近の貴女が分からなくて…。逃げていたお母様を許してね?」
「悪いのは私です。お母様ごめんなさい。」
お母様と抱き合う。
お父様と、ダニエルお兄様は元々私に超絶甘々だったので、特に変化は無いが、ヘンリーお兄様は思うところがあったようで、行き過ぎる私に注意をしていた人だ。
そんなヘンリーお兄様も笑顔を見せてくれた。
「自分の事をちゃんと理解できたのなら、良かった。」
ヘンリーお兄様は王子様のごとく笑顔で頭を撫でてくれた。
だらしなくボケーっと見惚れた私は悪くないはずである。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。
誤字脱字等、気になることが有れば、気軽にコメント下さいませ。