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閑話  レオナルド視点

レオナルド視点少し続きます。

僕はレオナルド・ウィスタリア。ウィスタリア帝国の皇太子だ。


生まれた時から天才だと言われてきた僕だが、物心ついた時から勉強も魔術も剣術も、やれと言われた事は何でも簡単に出来てしまった。


褒められる事が当たり前で、更に上を求められてもすぐにその上をこなせてしまえる事が、いつしかつまらなくなった。最初は楽しかった事がいつの間にか楽しく無くなって、褒められても嬉しくなくて、だんだんだんだん自分自身がつまらない人間に思えた。


そんな日々が続いたある日、色が徐々に見えなくなって全てがモノクロになりだしたが、それすらもどうでも良いと思えてしまった。それと時を同じくして、顔の表情を動かす事も出来なくなった。


そんなある日、アルバイン公爵が等身大で描かれた僕の姿絵を、どうしても貸して欲しいと陛下に頼み込んで借りて行ったという話を聞き、公爵のその行動力がすごいなと思った。


話によれば、アルバイン家のご令嬢が僕と同い年なんだそうだ。


妖精か天使の様な容姿をしているが、とんでもなく我が儘で癇癪持ちの悪魔の様な令嬢だと使用人達が話していた。


言われる方も言われる方だが、言う方も言う方だなとその時は思っただけで、多分その令嬢が婚約者になるんだろうなと漠然と思っていた。


しかし、1週間経っても全く音沙汰が無いのでどうしたんだろうと思い陛下である父に尋ねると、絵を持って帰った次の日に、公爵が『娘はそういった事にまだ興味が無く、少し早かった様です。』と、申し訳なさそうにしていたと言う。


しかしだ、今までに皇居内で、同い年の令嬢と会う機会が何回かあり、僕の顔を見るとどの令嬢も同じように頬を染め、好意を示してくれていた。自分で言うのも何だが、少なくとも見た目に関しては令嬢達の心を掴めるのだろう。


そんな見た目だけの姿絵を見れば、アルバイン令嬢だとて必ず食いついてくる物だと信じて疑わなかったのだが、予想を裏切られて何か釈然としない思いに囚われた。


その後、何となく気になってアルバイン公爵令嬢の事をそれとなく周りに聞いてみると、ある日を境に人が変わった様に良い子になったと言う話が飛び込んできた。


無慈悲で傲慢で高慢だったのが、使用人にまで『ありがとう』と言うようになったと。


それに、今まで一切興味を示さなかった勉強も、天才の域に達していると言うのだ。普段は厳格は人として有名な学術研究所の所長が、小躍りしていたのを見たと言う話なので、本当なのだろう。


僕の容姿になびかなくて、急に人が変わったご令嬢。普段何事にも興味がわかず、気にもかからない僕が、それだけで彼女に対しある種の興味を抱いたのである。

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