やってきてしまった『皇室主催のお茶会』と言う名の皇太子の婚活。8
ご令嬢2人を見送り、ダニエルお兄様の側まで戻ってきた。ダニエルお兄様は心配そうに私の手を握り眉を潜めている。
「何もレティが行く必要は無かったんじゃ無いかい?あの2人に何も言われなかった?」
「ダニエルお兄様が側で控えていらっしゃるのに、私にどうこう言える令嬢なんていませんよ。」
「でも、あの子達理性が飛んでただろう?」
「まぁ、確かに熱くなっていましたね。でも、あれ以上泣き出したり喚き散らしたりしなかった事は流石だなと思いましたよ?」
悪戯っぽく笑う。
「…はあ、全くレティは。」
「ふふ。許して下さいませ。」
ダニエルお兄様とそんな話をしていると、不意にレオナルド殿下がこちらに歩いて来た。
内心げげっと思いながらも営業スマイルで綺麗に隠し、ドレスをつまんでお辞儀する。相変わらずの鉄面皮と不敬な事を考えていないと回れ右しそうになる。
「レティシア・アルバイン嬢でしたか、先程の流れる様な仲裁は流石ですね。」
さも今気づいたばかりの様な言い回しにイラッとくる。
「いえいえ、今日の様な、皆にとって楽しい日に残念な事が起こってしまうと、気がそがれてしまいますもの。当たり前の事をしたまでですわ。」
「他の者はただ傍観していただけでした。あの場面で動けた君はすごいと思いますよ。主催者として礼を言います。ありがとう。」
と軽く頭を下げて来た。
「とっ、とんでもございません!お顔を上げてください。」
軽々しく頭なんて下げないでもらいたい。焦るじゃないか!
「ではあちらで少し話をしたいのですが構いませんか。」
言うが早いか、ダニエルお兄様と繋いでいた手をスルリとほどいて、さっさと私をエスコートし部屋の隅の観葉植物に目隠しされたテーブル席へと連れて行かれた。
かまいませんか………ってアンタ、有無を言わせず人の事引っ張ってってんじゃ無いですか。私同意してませんけど?
向かい合わせに座るかと思いきや、何故か私の90度横の席に陣取ってしまった。そのまま紅茶とお菓子をギャルソンにたのむ。
しばらくすると、何もなかったテーブルに見事なアフタヌーンティーセットと色とりどりのケーキが並んだ。
わーい!私の大好きな苺のケーキがあるぅ~!!じゃなくて!!
話とはなんぞや??
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