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やってきてしまった『皇室主催のお茶会』と言う名の皇太子の婚活。7

睨み合いを続けているご令嬢2人…。私と同い年のようだ、片方は両手でドレスを握りしめ、片方は左頬をおさえている。どちらも両眼に涙を溜めているので、『ああ、喧嘩だなぁ。』と思った。


周りも固まってしまい微動だにしない。


なんだか見ていられず、よせば良いのに気がついたら繋いでいたダニエルお兄様の手をほどき、2人のご令嬢の下に近づいていた。


「お二人共如何なさいました?」


私の声にピクリと反応する。


「初めまして。わたくし、レティシア・アルバインと申します。」


ドレスを両手で持ち、淑女の礼をする。そして、つつっと2人に近寄って声を落とし、事情を聞いてみた。


私の身分を明かせば、2人とも素直に事情を説明してくれた。2人とも侯爵家のご令嬢だそうだ。


よく聞けば、頬を張られた方はマルーン公爵家の嫡男ニクラス・マルーンの婚約者(候補)なのだとか。完全に決まった訳では無いが、8割方決定しているようなのである。


それに対し、ドレスを握りしめている方はニクラスの従姉妹で、どうもニクラスに想いを寄せているみたいなのだ。しかも、彼女曰くニクラスの婚約者(候補)は、その立場を手に入れたにも関わらず、レオナルド殿下にも色目を使っていると言う。


最初はお互い嫌味の応酬の様な事をしていたみたいだが、そのうち過激になってきた様で、ニクラスの従姉妹の方が「父親に我が儘を言って無理やりズルをして婚約者候補になったくせに!」と言ったそうだ。


それに答える形で、相手も「いつまでもウジウジとしている方が悪いんじゃ無い。私とニクラス様との間に入れずに一生指を咥えて見ていれば良いんだわ!」と言った上にティーカップを投げつけたらしい。


それで、従姉妹ちゃんがビンタを喰らわせましたで現在に至る。


これ子供の喧嘩か?小学生くらいの子供のセリフとは思えない。既に悪役令嬢完成しとるやないかい!ただの悪役令嬢の私より悪役だぞ?おい。


派手に紅茶が飛び散ったようで、2人ともドレスはびちょびちょ。折角のピンクとミントグリーンのパステルカラーのドレスは、見事な世界地図が二枚も出来上がってしまっていた。


大声で泣かないだけさすがと言うかなんと言うか…。


「お二人共、ニクラス様の事が大好きでいらっしゃるのね。ですが、本日はレオナルド殿下とアダム殿下がご用意してくださったお茶会です。それに水を差す様な行いは、レオナルド殿下及びアダム殿下の将来の臣下としてあるまじき行為です。さ、まだお茶会は半分を過ぎたくらいです。ドレスの予備は有るでしょうから控え室で着替えてきて下さい。」


そう言ってにっこり笑って2人の頭を撫でた。


しばらく、2人は私の顔を惚けた顔で見つめた後、メイド達に連れられて着替えに向かった。


そんな、私達の一部始終をしっかりと3人の男の子達に見られていたが、その時は気が付かなかった。

ここまでお付き合い頂きありがとうございます。

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