やってきてしまった『皇室主催のお茶会』と言う名の皇太子の婚活。3
あれから1ヶ月後、私の部屋の姿見にはセルリアンブルーを基調にしたミモレ丈のドレスに身を包んだ私が映っていた。
袖はレースで、可愛く透けたパフスリーブになっていて、上半身はお母様が好きなオキシペタラム別名ブルースターと言う5枚の花弁を持つ花の地模様があしらわれている。
ウエスト部分にはドレスより少し濃い青のリボンで模した大ぶりのブルースターが可愛く付いていて、細い腰を強調してくれている。そこから下のスカート部分は二重構造になっていて、内側のスカートは膝頭が見えるぐらいの丈にして、外側のレースがミモレ丈になっている良い感じの透け感が可愛い。
ちなみにこのレースの模様もブルースターである。かなりそこら辺は凝らせてもらった。
それだけだと地味だとお母様からご指摘をいただき、全体的にラメが散りばめられているので、光の反射でキラキラと輝く仕様にした。
8歳の子にしたらそれでも地味だったかもしれないが、中身アラサーのオバハンにはこれぐらいが丁度良い。
最初、水色のブリブリのフリル満点のドレスを勧められ試着した時は『レティシア』としては確かに似合っていたけれど、それと同じぐらい居た堪れず全力でお断りした。
髪はハーフアップにしてもらい、蝶が二匹ヒラヒラと舞っている様に見える白い髪飾りを左側頭部に付けてもらった。見た目派手では無いけども、パールとかクリスタルとか付いていて絶対高いよコレ。
ピアスとネックレスも蝶モチーフで色も髪飾りに合わせて白にし、靴も白に統一した。
本当は目立ちたく無いし、力みたくも無いからお母様の着なくなったドレスをリメイクしようと思っていたのに家族全員に速攻で却下された。
下手な物を着るとナメられちゃうんだって。嫌だね貴族ってヤツは。
準備が整ったので鏡の前でクルリと回ってみる。
「最初にドレスを拝見した時はなんでそんな地味なと思いましたけど、こうして実際レティシア様がお召しになると、なかなどうしてお可愛らしいと言うか………良いですねぇ!」
あれ以来言い方に遠慮が無くなったリサが興奮気味にしみじみと言う。
「意外と良いでしょう?最初は濃紺にしようかとも思ったんだけど、これも良い色よね。」
「濃紺よりこちらで正解です。パステルカラーの派手目なドレスがお似合いだと思ってましたけど、これぐらいの方がより良いですね!」
「どうせ着れても数えるほどしか着られないのに、無駄に布を使うのも気が引けるしね。」
「無駄って事もございませんが…でもドレスのせいで目立たないかも知れませんよ?」
「逆に目立ちたく無いって前から言ってるでしょ?」
笑いながらそんなやりとりをしている所にノックの音がした。
ここまでお付き合い頂きありがとうございます。




