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皇太子の姿絵

ぶっ倒れたようです。

時間は少し巻き戻って…。


私、レティシア・アルバインは現在8才。

生まれてこの方、甘やかされて育ち、何をやっても何を要求しても、「仕方ないなぁ。」で済まされ、怒られたり叱られたりしたことが一度もない。


公爵である美男なお父様と、美しいお母様、そして、これまた男前な二人のお兄様に愛情たっぷりに育てられた私は、この世の中は自分を中心に回っていると本気で思っていた。


何をやっても許される。

メイドが思い通りに動かないと、癇癪をお越し、手当たり次第物を投げつけて喚く。


さっきも、メイドのリサが私の我が儘に良い顔をしなかったものだから、オルゴールを投げつけたところだった。見事に肩にヒットし、かなり痛かっただろう。怪我をしたはずだ、顔がにやける。


そんなタイミングで、お父様がお呼びだと、お父様付きのメイドが呼びに来た。

ファザコンの気がある私は、さっきまでの機嫌の悪さは吹き飛び、二つ返事でお父様の所へ向かった。


お父様の書斎にノックもせず入る。

既に部屋にいたお母様が何とも言えない顔をしたが、私が睨むと微笑みながら視線を反らした。


何かもやもやする。

部屋にはお兄様たちも来ており、私を見るとニコニコと笑った。


お父様が笑顔で迎えてくれる。

「レティ、お前に見せたいものが有るんだ。」

(レティは私の愛称)


お父様は笑顔で私の前に、私の背丈と同じサイズの白い布が掛けられた、絵らしきものをカタンと置いた。

「きっとレティは気に入ってくれると思うんだ。持ってくるのに苦労したんだよ。」

どう苦労したのかは分からないが、満面の笑みでお父様が布を取った。


そこには、私と同じくらいの歳の一人の男の子が描かれていた。

ストロベリーブロンドの少し長めの髪、紫色の瞳、スッと通った鼻筋に意思の強そうに引き結ばれた唇。


服装は子供用の黒いスーツを着て、左胸には皇帝を象徴するライオンをモチーフにした紋章が付いている。色白だが、健康そうなその少年はウィスタリア帝国の皇太子だと父が言った。


突如、頭を殴られたような衝撃が襲ってきた。


私の頭に、30年分の前世の記憶がなだれ込んできた。

8才の頭では許容量が足りず、私は、「ぁあ」とか「うう」しか言えず、体を動かすことも、絵から目を反らすこともできず、立ち尽くしていた。


そして、キャパオーバーでオーバーヒートした私の頭はプツンと切れ、私はそのままバタン!と倒れたのだった。

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。

ポツポツ続きますよー。

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