ヘンリーお兄様に魔法の特訓をしてもらいます。2
どうやら妙な方向に行きそうです。
ふり返るとそこには、こぼれ落ちるんじゃないかと思うぐらい大きく見開かれた、大きな青い二つの目が私の手元を凝視していた。
「お兄様?ヘンリーお兄様?どうなさったんですか?ヘンリーお兄様?」
空いている方の手をヒラヒラと振る。
「っは!…あ!っえ?んんん?」
いまいち状況が掴めない様な顔をして眉間を揉みながら目をパチクリさせている。
いつも冷静沈着なヘンリーお兄様にしては珍しく動揺している様子だ。
「えっ…と、何か私おかしな事しましたか?」
恐る恐る顔を窺いながら見上げると、ヘンリーお兄様は拍子抜けした様な顔をした。
そして私が持つ水のリボンをまじまじと見つめ、
「すごい…!ちゃんとこの中で水がキチンと循環している!濁ることもなく澄んだままだ。レティ、これは誰かに教わった訳ではないよね?」
少し興奮気味に聞いてきた。
「はい。持ちたいなと思ったら持てました。」
「いつからだい?」
「少し前からでしょうか。金魚鉢を思い浮かべたらすんなり。」
そう言いながらリボンを掲げる。
「もう、戻して良いよ。レティ、普通は切り離して持つなんて出来ないんだよ。それこそ宮廷魔術師や魔術塔の人間ですら出来ないと思うよ。」
えええ!?んなアホな!
「ビックリしてるね。でもそうなんだ。もし持てたとしても、あっと言う間に水は濁って汚れてしまう。そもそもあり得ない事なんだよ。」
一言一言、言い含める様に、固まっている私に教えてくれる。
宮廷魔術師や魔術塔の人達は、それはそれは凄腕の魔術師集団で、1人で王都1つぐらい簡単に消せるぐらいの実力を持っていらっしゃる。
そして、その気になれば、ずば抜けた諜報能力と情報戦を繰り広げられるだけの力を持っていると言われている。
CIAかKGBかFBIかよ!!まあ、日本の公安ではないな。
出来ればお会いしたく無い方達だ。
「今のヘンリーお兄様の言い様では、まるで「自然の摂理に反する」とでも言いたげではないですか。」
こちとら息も絶え絶えである。
「レティは賢いね。そうだよ、本来なら存在するはずが無い魔法だ。でも、コレが出来ると言うことは、ともすれば世界一の魔術師になれると言うことだよ!!」
「嬉しく無いですし、なる気もありません。」
「どうして?」
「私は平和に暮らしたいんです。世界一の魔術師なんかになったら、平和に暮らせなくなるじゃありませんか!」
平和主義で生きていくつもりなのだ。変なしがらみはお断りである。
ここまでお付き合い頂きありがとうございます。




