哲学者カント、XXで目覚める
それから時が経って━━
「……うん?」
目が覚めると、私はどこか別の、日本とはまったく異なる空間に横たわっていた。我が故郷や日本と比べると地面はもやもやしていて空気はかなり冷たく、ガスっぽいものが含まれている気がする。まあ、ケーニヒスベルクの豊かな大地と新鮮な空気は何物とも比べることはできんだろう。
私は起き上がり、周囲を見渡す。
……これは驚いた。ここは、まさしく神の国に違いない。ここに立ち並ぶ建物のその一つ一つがなんだかふわふわしていて、それらが地上の建物ではないことを示している。このふわふわ感。まさに、ここが神の国であることを示しているぞ。
そして私は起き上がり、周囲を見渡す。すると。
「うん?ここは……」
「お?お前!」
私の隣には、見知った顔。この男、少し年はとったが、さっき別れたばかりの、あの親切な若者ではないか!
「あれ、もしや、イマニュエル、ですか?なんであなたが……というか、どこです、ここ。確か僕、120歳まで生きて、満足してお陀仏になったはず……」
「また会えたな、黄色天使。私も今目覚めたばかりでよく分からんのだが、ほら、周りを見てみろ。ここは、神の国に違いないぞ」
「……たしかに、地面も建物も、それから僕たちもなんだかふわふわしていますが、神の国と断定するのは早計ですよ。もしかしたら、夢の中かどこかかも」
そう言って周囲を見渡す黄色天使の顔は、以前よりも凛としていて、自信にあふれているように見えた。
「お前、いい顔になったじゃないか。努力を続けた人間のみが出せる、余裕のある表情だ。神の国の探索は後にして、どれ、聞かせてみろ、お前のその後の人生を」
「ええ、そうですね。あの後、いろいろとありましてね……」
「……」
「……」
◇◇◇◇
「……イマニュエル、僕たち、なにやら囲まれているみたいですよ」
「ああ、なんとまあ、天使とはこのようなふわふわの生き物であったか」
黄色天使のその後の人生について語らっていると、私の考える天使のイメージとはかけ離れた、なんとも奇妙なふわふわした生き物が私達を囲んでいた。
そしてみな、私達の方を見ている。新入りの我々は、どうやらここでは目立っているようだ。
よし、近くにいるひとつの「ふわふわ」に会話を試みることにしよう。
「Verzeihung, bitte, ich habe eine Frage. Sind wir im künftigen Leben? Also, ich meine, "jenseitige Welt"」
……反応は薄い。が、そのふわふわは、私の頭に直接響く不思議な言語で語り掛けてきた。
『ワ……ワレワレハ……モクセイジン、ダ……』
驚愕のあまり、私と黄色天使は目を見開き、お互いに顔を見合わせた。
も、木星人、だと!思った通り!木星人は、ほんとうにいたのだ!!
西暦3XXX年、哲学者カントは木星で目を覚ました━━
カントは木星人の存在を信じており、論文の一つの章を使ってなかなか真面目に語っています。
この後、活動報告にあとがきじみたものを投稿します。よかったらそちらもどうぞ。
では、これにてバイバイ。
※追記:あとがき
https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1622972/blogkey/2378434/
Kant, Immanuel (1755) Allgemeine Naturgeschichte und Theorie des Himmels.
https://korpora.zim.uni-duisburg-essen.de/kant/aa01/349.html
2019.8.5




