殺り方
「これは、酷いわね。現状把握する余裕すら与えず確実に殺してる。」
難波志保が言う。
「それに、一人目の人の死に方が問題です。」
ケミが言う。
「なんでだ?」
ヤスが聞き返す。
「さっきの男たちの死に方を思い出してみろ。」
俺がそう言うとヤスが一人ずつ思い出す。
「一人目は急に苦しみだした、二人目は壁に触った途端に倒れた、三人目は突然血を吹き出し倒れた。だったか?」
「その中で唯一死因が不明なのは誰だ?」
俺がヤスに問う。
「うーん?」
と少しヤスが考える。
「一人目か!」
ヤスが納得した顔をする。
「ああ、おそらく二人目と三人目は感電死と射殺だろう。しかし一人目だけはわからない。急に苦しみ始めたんだ。」
俺が言うと皆黙り込み考え込む。しかし、数分後その沈黙が破られる。
「もう一度、動画を見て二人目と三人目の死因を確認しなおして見てくれ。」
俺がそう言って動画を開く。
「やはり感電死と射殺じゃない。いくら見ても死因は同じでしょう。」
南波志帆が言う。
「わかりやすいので言うと三人目の射殺されたと思っている方だが、どうやって射殺されたと思ってる?」
俺が聞くとケミが
「それは少し離れたところからの射撃、」
そこまで言いかけたケミが違和感に気づく。
「撃たれたのが胸部でこんなにも血しぶきが上がるものなんですかね?」
そう、遠くから撃った場合よほど綺麗に肋骨の間を通らなければ心臓にはきちんと届かない、もしうまく肋骨の間を通った場合体を貫通するはずなのである。
「それに頭を狙わないのもおかしい、頭蓋骨の方が狙撃ならば確実に相手を殺せるでしょうに。」
そう後頭部だったならまだしも前を向いていたならば筋肉も少なく骨も薄いためほぼ確実に殺せるのになぜ胸を狙ったのだろう。
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