プロローグ
2100年僕ら人類は完全なる機械化を遂げたらしい。機械化と言っても人間が機械になったわけではなく今まで人間が行なっていた全てのことが機械化したのだ。そして、人類はソイルライフという1つの施設に集められた。そして、ソイルライフの開発者「土間 一路」はこう言い残した。「人類は、大きな分岐点を曲がり切ろうとしている。そして、今後どうなるかは君達しだいだ。」と。
完全な機械化が遂げられてから50年、人は怠惰になり、今まで最低限人がやるべきだとされていた裁判官などの、感情論が入ってくる仕事さえも機械に感情を持たせることにより全自動化していた。そのため、僕の前に立つ教師も機械というわけだ。え?なぜ勉強をするかだって?完全な機械化によって環境さえも操ることに成功した人類は全ての人間のレベルを等しくするため太平洋に新たに作られた施設に移動させられた。そう。そのため、全員のレベルを等しくすべく学校が存在するのだ。そして、ここでは24になるまでの間の学習が義務化されている。とは言っても、16を過ぎると選択できる学問科とコミニュケーション科の選択のうち実に99%以上がコミニュケーション科に言ってしまうため16からは勉強をしない。コミニュケーション科というのは、今の時代機械が全てを行うため人間関係さえきちんとできれば良いと考えられ作られた学部だ。そこでは、簡単にいうと年中パーティーが行われているのだ。そして、なかなか打ち解けられない奴らは機械が選んだ同じ趣味などを持った人と会わせられることで最低1人の友達が確実にできるという科だ。そしてその科に行けばいじめだの差別だのをされることがない。なぜかって?それは学問科があるからだ。学問科とは、こんな時代のため、なんの役にも立たない勉強を行う変わり者の集団だ。まぁ僕もその1人なんだが。そして、コミニュケーション科の奴らは俺らを下に見ることでプライドを保っているというわけだ。それが分かっていてなぜ学問科に進んだかだって?そんなのは簡単だ。俺が心配性だからだ。なぜなら、15までで習った知識では不測の事態に陥った時対処できない。でも、ここにいれば不測の事態が起こる可能性なんて0.1%にも満たないのかもしれないが。それに、コミニュケーション科に行かなかったからと言って、友達ができないわけじゃない。だから僕は、こっちを選んだ。
そして、僕はこの世界に大きな疑問を持っている。規則正しい時間に、自分の選んだ栄養に偏りがない食事が届けられ、犯罪も一年に一桁という驚異的な少なさであり、気候も安定しているこの世界は、はたから見れば確かに完璧な世界なのだろう。しかし、この世界は本当に正しいのだろうか。ただコントロールされているだけではないのだろうかという疑問が常に頭をよぎる。だからその疑問を解決するために学問科を選んだ節もある。僕が無駄な心配ばかりしているのだろうけれど。
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