虐げられる者
僕の人生は一言で言えば虐げられる者。これだけだ。特に意味は無い。ただ単純に表しただけだ。周りの人間は全てが敵だ。親、教師、クラスメイト、同じアパートの住人も。いや、もはや人が敵だ。人間が敵だ。人類が、ラノベに出てくる亜人族となら仲良くなれそうだ。僕は陣野 帳中学3年だ、好きなものはラノベ、亜人種(もちろん存在しない)、人間が嫌いな人、そんなもんだ。無論、異世界転生論者だ。亜人マニアでもある。
こんな世界から出ていけるなんて最高だ。そんなんならどこだっていいな。この世界は腐っている。そんな俺に 転機が訪れた。幼少期からいじめられていたし、それが当たり前だと思っていた。この状態が異常だと知ったのは2年前、中学に進学した時だった。違う小学校の奴の反応を見て初めて認識した。これは異常だ、と初めて気づいた。それから2年俺は今、山の上にいる。どうしようもなくなった時はここに来る。ここからは街が良く見える。昨日の雪で足元の芝生も、向こうに見えるビルも白く染まっている。その雪は夜の冷気でほぼ氷になっていたらしい、勢いよく立ち上がった時、思いっ切り頭を打った。痛い。い、痛い、い、、、た、い。
そこで俺の意識はブラックアウトした。最後に聞こえたのは、無機質な声だった。
《スキル 虐ゲラレル者 を獲得しました 》
その声は温もりは無かったものの、ほんの少しだけ哀れみがこもっていた。