ツンデレーション2
~朝~
「…ん、おはよう。」
「…今日さ、ちょっと来るの遅くない?」
「いや、別に…なんかあったのかなって………。」
「心配?するわけないでしょ。」
「………ただ、もうそろそろ諦めたかと思っただけよッ!!」
~昼~
「また私のところに来たの?あんたもしかして友だちいないの?」
「…大きなお世話よ。どうせ私は友だち少ないわよー。」
「でも友だちって多ければいいわけじゃないしね。多ければいいわけじゃないしねッ!!」
「………ねえ、本当に私のところにきて大丈夫?私と一緒だと腫れもの扱いだよ?」
「…それならいいけど。後、付き合うのは無いからね絶対。」
~放課後、複数の女の子に呼び出されて(こっそりついていってみた)~
「…は?蓮司を開放しろ?…別に縛り付けてはないよ?むしろどうぞ持って行ってよ。」
「そんなこと言われても…弱み握っているわけじゃないし、あっちが進んでやってくれているしねそれ。」
「………さっきからさ、何なの?あなたたちはクソ蓮司の何なわけ?」
「すごく不快なのよ、あなたたち。蓮司の容姿だけ見て勝手に性格を決めつけて、その上あいつを物扱いしてさ…。」
「あいつは1人の人間よ!あなたたちはそれを踏みにじって愛玩動物扱い、馬鹿じゃないの!?さっきの言葉、そっくりそのまま返してやるわよ。ファンクラブか何か知らないけど、あなたたちみたいな頭の中がお花畑なくそ女どもがアイツの足を引っ張るんじゃないわよ!!」
「やっぱり最初の言葉は訂正してあげる。私は蓮司に告白された女よ。あんたたちみたいな女が横から口出すんじゃないわよ。くやしかったら自分の実力で蓮司を振り向かせてみなさい、じゃあね。」
「…はぁ、私もまだ子どもだな…。」
「…お、やっと来たね。」
慌ててその場を離れた俺は、何事もなかったかのように校門で待っていたフリをした。
「ちょっとね…というか私を待っていたの?部活はどうしたのよ、部活は。」
「今日は休みだったんだよ、せっかくだから一緒に帰りたいなって。」
さっきの言葉を思い出してにやけそうなそうな顔を必死にこらえながら普段通りに努める。口元が歪んでいないかも心配になってきた。
「懲りないよね…。」
彼女は苦笑するとそのまま歩き出す。俺はそれに合わせていつも通り横から鞄を強奪しながら一緒に歩く。最初はこのかばん持ちも随分と拒否されたものだが、今ではすっかり抵抗なしだ。それが隣にいるのを認められたようでうれしい。
「…なににやけているのよ。」
しまった、油断していたらしい。慌てて顔を戻しながら何でもないと取り繕う。
最初、呼び出されている現場を見ていた時は危なくなったらいつでも飛び出せるように構えていたが、結局出番はなかった。いや、飛び出そうとしたときに美来がブチ切れてしまったので出るタイミングを失った。いやこれも違うな。切れた時に飛び出した美来の言葉が嬉しすぎてフリーズしてしまったんだ。
これはもしかしたら、もしかすると―――――
「………またにやけてるし…気持ち悪いから先に帰るわね。」
「あっ、ちょっと待てよ!」
鞄を俺から取り戻した美来が走り出す。そこには確かに笑顔が浮かんでいるのを俺は見逃さなかった。