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とある作家の短編集  作者: 毎日居留守
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童話≪魔法使い≫

―とあるところに、すごい力を持つ旅人がいました。

 旅人が一度腕を振るえば風が吹き、天に祈れば星が降る。みんなはその不思議な力を持つ人を≪魔法使い≫と呼んでいました。



 ある日、魔法使いは小さな小さな村に立ち寄りました。その村は雨が降らず、作物が育たなくて困っておりました。

 そこで魔法使いは持っていた杖を地面に突きさしました。するとどうでしょう。杖を突きさしたところから水があふれてくるではありませんか。村の人たちは大喜びです。みんなの笑顔を見ることが出来て大満足な魔法使いは、静かにそこから去りました。



 ある日、魔法使いは道の途中で大きな大きなドラゴンに襲われてしまいました。

 ドラゴンは炎の息を吐いて魔法使いを焼こうとしてしまいます。しかし魔法使いが人差し指をヒョイッと動かすと、炎の息はドラゴン自身に襲い掛かりました。これにはドラゴンもビックリ仰天。そのまま自分の炎で死んでしまいました。



 ある日、魔法使いは橋が落ちていて先に進めなくなっていました。

 しかし、そんなことがあっても魔法使いは慌てません。おもむろに手を広げたかと思うと、なんとそこら中に転がっていた独りでに動き出し、なんと大きな石橋に変わってしまいました。この橋はとても丈夫で、今でもなお壊れることなく橋としての役目を果たしているのでした。



 ある日もある日も、またあくる日も魔法使いは、その強大な力で人助けをしながら旅を続けました。そのうち、魔法使いはとても有名になっていき、とうとうその名前は王様の耳にも届くようになりました。

 魔法使いのうわさを聞いた王様は考えます、魔法使いの力があれば戦争に勝てるのではないかと。この国は隣の国と戦争をしている真っ最中だったのです。


 ある日、魔法使いは王様に呼び出されてお城へと向かいました。


『来たか、そなたが噂の魔法使いか』

『どのような噂かは存じませんが、確かに私は魔法使いと呼ばれています』

『では魔法使いよ、わが軍と共に隣の国を滅ぼして来い』

『お断りします』

『ではそなたは死刑だ』


 これに怒った魔法使いは、この国を滅ぼしてしまいました。


 そして魔法使いは、死んでしまった王様の代わりにこの国を治め、幸せに暮らしましたとさ。



                                 ≪最初の魔法使い≫終わり―




「…なにこれ。」


「この国の一番古い物語。」


「………これ何が伝えたかったんだろ…?」



「…さあ、彼女(・・)何が言いたかったのだろうね。」



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