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呪われているとわかった五日目

 家から追い出されて五日目である。ちょっと強気に出てみようと思うので、である口調である。ちょっと違うような気がするが、人生に正解はないのらしいので、なんか間違っても大丈夫だろう。


 起きて、すぐに宿の食堂に行ったら、エリアナさんがいた。今日も美人でおっぱいが大きくて素晴らしいのである。エリアナさんは何も言わず、俺を見ると頭を下げた。どうやら嫌われたようである。まぁ仕方ない。嫌われたなら、あまり相手を刺激しないようにしよう、そう思って黙って食べていると、エリアナさんが苦しそうな表情になってしまったのである。

 よっぽど俺と食事をするのが嫌なのだろう。すぐに食べ終えるので、我慢してほしいところである。俺が食べているとエリアナさんが言う。


「私のことを、はしたない女だと、お思いなのでしょうね」


 何を言っているか全然分からないエリアナさん。俺から見ると貴方は完璧ですよ。テーブルマナーも完璧で、ごはんも綺麗に食べてるじゃないですか。

 もしかしたら、庶民の宿屋の食事なのに、空気を読まず気取った食べ方をして性格悪いことをしてしまったとか、思っているんだろうか、それはおかしい、エリアナさんが、ごはんを食べる姿は美しいので、問題はない、もし問題があるとしたら、庶民の宿屋に問題があるはずだ、それを冷静になって気づいてほしい。だから、こう言うことにした。


「貴方に非は無い。少し冷静になって状況を考えてみた方が良いと俺は思う」


 ちょうど食べ終わったので席を立つ。ついでに、このまま仕事を探しに行かないといけないので、宿屋から出る。いや、そのまえに言っておかないといけないことがあった。


「一人で考える時間が必要だ。ゆっくり休んでくれ」


 俺は仕事を探すのに、一人で色々と考える必要がある。なので、エリアナさんは、とりあえず宿にいればいいんじゃないかなと言ったつもりなのだが、何か間違えた気がする。まぁ、いつも間違えている気がするし、俺のこれまでの人生で美人さんと話す機会など滅多にないものだから、ミスってしまっても仕方ないことだろう。あまり気にしても仕方ないな。


 そうして、朝っぱらからエリアナさんに会えてハッピーのまま、俺は宿屋を出ました。宿から出ると、速攻で声をかけられました。声をかけてきた相手?誰だか知りませんよ。知っていても俺が憶えていられるわけねーだろ!

 まぁこういう時は、何も言わずに頷く。すると、相手はホッとした顔をしてきて俺に頼んできた。


『薬草の在庫が足りなくて困っている。森に生えているのだけれど、森は魔物が多いので、入るに入れないので、代わりに取ってきてほしい。もちろん、お礼はする』


 そんな頼みごとをされたので、俺は了承した。人助けが出来る上に、お金を貰えるとは素晴らしい。断る理由が全く無い。いやぁ、思ったよりも簡単に仕事が見つかって良かった良かった。そう言えば、困ったことがあったら言ってこいと言ったような、言わなかったような。まぁ、どうでもいいね。

 そういうわけで、森に行ってきた。途中、魔物が出たが剣で斬り殺して、薬草を採取した。薬草の種類など、俺は分からないので、匂いを嗅いで、身体に良さそうなものを見つけて取ってきた。当然だがエリアナさんの方が良い匂いだ。

 まぁ、そんな感じで、森への探索は終了した。よくよく考えると、これは冒険だ。小さい頃は、こういう冒険に憧れていて、今はそれが出来ている結構楽しい。将来的には山奥とか遺跡とかを探索するのも楽しそうだ。


 という感じで、午前の仕事は上手くいった。当然、薬草は問題なかった。やっぱり匂いを嗅いで大丈夫そうだったら大丈夫なのだ。それなりの額を貰って、俺は満足。


 そうしたら、次は教会の人がやってきて、俺に頼みごとをしてきた。

 教会に行くと、司祭のおじさんが出てきて俺にお茶とお菓子をご馳走してくれました。茶はまぁまぁだったけど、菓子はクソ不味かったので、不満でした。

 そういえば、おじさんの傍には、見たことがあるシスターさんがいます。どこで会ったかは忘れたけど、金髪で清楚な感じの俺と同じくらいの歳の女の子です。ああ、そう言えば、このシスターさんは昨日会ったね、司祭のおじさんにも会ったわ。すっかり忘れていたわ。

 どうでもいいけど、司祭とシスターの組み合わせはヤバいらしい。本で読んだから詳しいんだ俺は。本にはシスターさんというのは淫乱らしくて、司祭ってのは、好色らしい。マジかよ、こんな清楚なシスターさんが淫乱エロシスターなのか。すげえな、教会って、うちにあった『淫乱シスター夜の懺悔室』通りかよ。

 やーい、エロシスターとかすげえ言ってみたいけど、駄目だろうね。どうしよう。とりあえず、シスターさんの様子でも観察しようかな。


 そうして観察していた結果、シスターさんは淫乱でした。俺に見られていると、顔が真っ赤になってモジモジしだしました。どうやら発情してしまったようです。これは司祭さんに夜の懺悔をしちゃう感じかな。やっぱ、教会ってすげえ。


「――――というわけなのですが、どうか、お願いできないでしょうか?」


 あ、全く話を聞いていなかった。司祭のおじさんが何か俺に頼みごとをしていたみたい。どうやら、俺って難聴のようです。まぁ、なんか退治してくれて話だし、特に問題はないでしょう。困っているようだし助けてあげた方がいいので、承諾することにした。

 そんな感じで、なんか退治することになった俺は王都の下水道に入りました。なんか良く分からないけど、淫乱シスターさんがついてきました。案内だそうですが良く分からん。


「下水道を通って、王都の地下にあるカタコンベに行きましょう。きっと、そこにゾンビが増えている元凶がいるはずです」


 何言ってるか、全く分からないんですけど、この淫乱シスターさん。カタコンベって言葉がそもそも分からないんだけど、シスターさんは気にせずに話してるから、常識なの? これカタコンベってなんですか?って、聞くと恥かく感じ? じゃあ黙っていよう。

 なんか、ゾンビが増えているって言ったけど、魔物なんだし、そりゃ増えるんじゃないの? 良く分からんわ。もしかして魔物が増えるものっていう常識がないのかな。そういえば『淫乱シスター夜の懺悔室』のシスターさんも世間知らずだったし、シスターさんというのは世間知らずなんだろうね。まぁ、世間知らずだからって常識知らずみたいに扱うのは良くないから、黙っていよう。これで誰も傷つかない。


 そんな感じで、シスターさんについて行くと途中で、ゾンビがいっぱい出たので剣でぶった切った。弱いので楽勝。だけど、淫乱シスターさんが、発情してしまったので困った。なんか凄く息を荒げているし、顔真っ赤だ。

 シスターさんも、なんか魔法を使ってゾンビを消したり、メイスでゾンビを倒していたのだが、何がスイッチだったのか、興奮してしまったようだ。

 『淫乱シスター夜の懺悔室』だと、魔物とエッチな感じでシスターさんは喜んじゃうんだけど、もしかしたら、マジでそうなの? やっぱり教会ってすげえ。とはいえ、さすがにここで、色々とハッスルされると困るので、シスターさんを背負って、ゾンビを蹴散らしながら、進んだ。途中、背負っているシスターさんの鼓動の音が激しくなった。ゾンビが死ぬところに興奮するとか、マジで怖いんですけど。


 まぁ、そうこうしている内に、なんか広いところに出た。棺桶がいっぱいあったので、棺桶屋さんかな?こんな場所で店を開くとか商才絶望的だな。向いてないからやめろと店主に言いたい。

 そんなことを考えていたら、店主が現れた。顔色が悪い、きっとご飯を食べていないんだろう。そのくせ服だけは、何かキンキラしている。これはあれだ、身の丈にあった生活をしていないんだろう。俺が注意してやらなければならない。


「まさか、ヴァンパイア……」


 淫乱シスターが冷静になったようなので、とりあえず背中から下ろす。しかし、流石淫乱シスター。絶頂して腰が抜けてただけのようで、へたり込んでしまいました。


 どうやら、この棺桶屋の店主さんはヴァンパイアという名前らしい。まぁ、名前なんかはどうでも良い。とにかく、今のような生活は改めさせなければならない。こんなクソみたいな立地で商売をしている上、食よりも衣を重視する見栄張りな性根をなんとかするのだ。


「こんなことは止めろ」


 とりあえず棺桶屋をやるにしても、地下じゃなくて地上に出た方が良いと思って言ったのだが、ヴァンパイアさんは、なんか俺を馬鹿にしたように笑いやがった。


「私は契約に従っているにすぎない。私の役目は――――」


 何かヴァンパイアさんが難しいことを言っているので、聞き流した。教会がどうとか、『守旧派』とか『革新派』がどうとか言っているが、良く分からんね。シスターさんが、「まさか、革新派が、そんな……」とか言ってるけど、意味わからんからね。

守旧って言葉の意味も革新という言葉の意味も分からん俺からしたら、つまらない話ですよ。


「そんなことはどうでも良い」


 何か難しい話ばっかりで退屈してたから、思わず言っちゃった。

 そしたら、ヴァンパイアさんが何か喋りだすけど、内容は頭に入らない。どうせ、たいしたことは喋ってないだろう。

 まぁ、なんか喋り終えたら、ヴァンパイアさんが魔法で火球を出して俺に投げつけてきたので、とりあえず、防御魔法を発動して、魔法を防ぐ。火球が直撃したけど、魔法で防いでいるので特に何も無い。


 俺はなんとも無かったけど、こういう態度はよくない。すぐにカッとするのは駄目な人間だ。ちょっと、反省させるために、痛い思いをさせなければいけない。なので、俺はヴァンパイアさんに向かって、踏み込み剣を叩きつける。ヴァンパイアさんの感じだと、たぶん死なないだろという感じで撃ち込んだのだが、ヴァンパイアさんは剣を抜いて防御した。


「この速さに、この力、どういうことだ!」


 いや、それはアナタが鍛えていないせいだと思いますよ。こんな地下にこもっていたら貧弱にもなりますって。まぁ、そういう性根も叩き直さなければならないんですけどね。

 とりあえず、性根を叩き直すために、俺は何度も剣を振るいましたよ。まぁ、貧弱なせいかヴァンパイアさんが受け止めていられたのは最初だけで、後は俺の剣を防御する度に面白いくらい身体がよろめいていました。

 やっぱり、筋力トレーニングはしておいた方がいいね。毎日、実家の庭にある大岩を持ちあげて訓練していた俺を見習って。


「ふざけるなぁっ!」


 途中ヴァンパイアさんが、魔法で俺の剣を吹っ飛ばしました。これは無い、ホントに無いわぁ。性根を叩き直すために剣で鍛え直してやろうとしたのに魔法で何とかしようとかありえないですよ。俺は、そういうのは無しだろうと思ったので、反省させるために、顔面にパンチを入れてやった。

 パンチ一発でぐらつく情けない身体を、タックルで押し倒し、俺はヴァンパイアさんに馬乗りになって、顔面に拳を叩きつけてやった。とりあえず五分間ぐらい殴ると、ヴァンパイアさんが、大人しくなったので、反省したかと思ったが間違いだった。

 ヴァンパイアさんは灰になって消えてしまったのだ。逃げたということだろう。次に会ったら、もっと鍛え直してやる。


 なんか知らないけれど、司祭のおじさんからの頼み事は、これで終わりだったらしい。特に何かをした記憶はないけれど、多分ゾンビを退治して欲しいってことだったのだろう。俺としてはヴァンパイアさんの性根を叩き直せなかったのは不満だったけれども、司祭のおじさんがとっても喜んでいたので、俺の不満は忘れることにした。

 そう言えば、俺がヴァンパイアさんの性根を叩き直そうとしている時に何もしなかったシスターさんだけど、下水道から帰ってきてからは、なんか顔が赤い。腰が抜けていたので、おんぶして帰ったら、それから常時発情中とか怖いんですけど。まぁ、シスターさんのことはいいや。司祭のおじさんから、お金を貰ったので、俺としては満足でした。


 そういえば、下水道から帰って来たあとに、なんかしらんが俺の体調を調べられた。教会の人の話を聞く限りではヴァンパイアさんは病気持ちだったようだ。でも、俺に病気は移っていないらしいので、安心した。

 あと、教会の人が言うには、なんだか俺は呪われているらしい。しかし、これまでの人生において、一度も困ったことはない。それを言うと、教会の人は首を傾げた。


「この強さの呪いだと、命の危険があるほどの困難があるはずなんですがね。それがないとなると、どういう呪いなのか、皆目見当もつきません」


 いや、よくよく考えると困難はある。お金がなかったり、仕事がなかったりだ。たぶん、これも呪いだろう。なんと大変な呪いなのだろう。俺に仕事がないのは呪いのせいだったようだ。

 このことを伝えると、教会の人は引きつった表情になった。よほど強力な呪いなのだろう。きっと、この教会の人にも何も出来ないのだ。だから、引きつった表情になってしまったのだろう。いらぬ心配をかけてしまったので、俺はさっさと帰ることにした。


 そう言えば、呪いを調べられている時に頭に浮かんだ『混乱』とか『知力低下』という言葉は何なのだろうか。まぁ、俺は割といつも冷静なので、混乱とは無縁だから関係ないだろうし、知力だって生活するのに困っていないから、低下してないだろ。そんなことより、さっさと宿に帰って、宿代払って、エリアナさんのおっぱいをガン見しよう。

 そういえば、女性は男の視線に敏感らしいので、練習していた『目を使わずに物を見る』という技を使う時だ。これなら、エリアナさんが俺のいやらしい視線に気づくことはない。どうやら、俺は冴えすぎているようだ。ルンルン気分で俺は宿屋に帰ることにしました。


 その途中で、なんか魔法使いを助けたけれども、たいしたことでは無いので記憶が曖昧だ。そんな感じで帰るまでも色々ありました。


 そうして気づいたら、よく分からないことになっていました。仕事が終わって宿に帰ったら、エリアナさんが宿屋の従業員になっていたのです。エリアナさんは仕事を見つけたようだ。どうやら、自分の宿代は自分で稼ぐつもりなのだろう。

 俺は見切りをつけられたのかもしれない。そりゃ定職についていない男が金を稼いで戻ってくること期待するよりも自分で稼ぐ方が建設的だよね。エリアナさんが自立したなら良かったのかな。

 まぁ、なんでもいいかと思って、俺はごはんを食べた。すると、いろんな人が俺の今日の仕事の話を聞きにきたので、包み隠さず全部を話して、俺に話しかけてきた人たちにも色々と話を聞く。どうやら、みんな結構、冒険っぽいことをしているようだ。なので、こう言った。


「俺たちは冒険者だな」


 何となく思いついた言葉だが、しっくり来た。周りの人間もそうだったようで、自分たちは冒険者だと言いだし始めて、盛り上がり出した。色々と話した気もするが忘れた。俺の壊滅的な記憶力を侮ってもらっては困る。まぁ、話も落ち着いたところで、俺は眠くなったので、寝たようだ。

まぁ、寝る直前は分からないので、理解できたのは翌日になってからだけど。




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― 新着の感想 ―
[良い点] まだ4話までしか読んでいないですがとても面白いです。
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