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自らの行動を振り返る

反省会です

 なんか、良く分かんない話を、良く分かんない場所で聞かされている俺です。

 なんとなくですが、俺が恨まれているみたいだね。まぁ、どうでも良いんですが。あと世界について、なんか言っていますが、それって俺に関係ないよね。別に知らなくても困らないことだし、生きていく上で必要ないですよ、それ。


「もっと、真剣に受け止めろや!」


 はいはい、聞いてあげますよ。で、結局、何が言いたいんでしょうかね、この人は。


「俺は、お前に色々とやりすぎないように、伝えに来たんだよ」


 そうっすか、大変ですね。話は聞いたんで、お帰り下さい。お疲れっしたー。


「まだ、話は終わってないからな! ちゃんと聞けよ!」


 あ、そうなんですか、ごめんなさい。どうぞどうぞ。


「結局のところ、呪いとか関係なく、お前のクズさは変わらなかったんで、このままだとヤバそうだから、状況が悪くならないように釘を刺しに来たんだよ。この世界だと、お前を止める主人公の存在も、お前に行動を自重させる魔王の存在も無い。その無自覚なクズっぷりのまま、勝手にさせると世界が滅ぶ」


 それはすごい。話の内容は全く理解できなかったが、俺が世界の命運を左右する立場ということか? 男なら、それぐらい大きくなりたいものだと思っていたが、夢が叶ったようだ。良かった良かった。


「世界滅ぶって言ったよな!? 俺、言ったよな!? 何満更でもない感じになってんの!? ゲームの中だと、お前一人のせいで、世界の人口が十%が減ってんだ! この世界だと人口半分になるぞ!」


 常々、ちょっと街に人多いなぁ。と思っていたので、人が減るのもありなんじゃないですかね。最近、食堂が混んでいて不快なんだよなぁ。多すぎる人類を間引くことも必要だと思いますよ? 


「もっと考えて発言しよう! すっごく悪役っぽい発言だから!」


 なんすか、怖いなぁ。黙ってよっと。


「とにかく、あんまり人が減ったりするのは困る。この世界には、お前に対して直接的に働きかけられる抑止力が存在しないんだから、自重しろ」


 自重って何語ですかね。知らない言葉です。出来れば、難しい言葉を使うのは自重して欲しいものだ。


「意味わかってんだろ! 馬鹿にしてんのか!」


 そんなことするわけないだろ。俺はいつも相手をキチンと扱っているぞ。


「扱ってねぇだろ! 行動はともかく、頭の中では滅茶苦茶ひどく扱ってるじゃねーか!」


 そうかもしれないですね。気をつけます。


「とにかくだ。現状、お前の思考には混乱がかかってる。思考がまとまらなくなる呪いで、考えが分散してしまうから、思考があっちこっちに行くし、深く考えることが出来なくなる。悪いが、これは解けない。解いたら、お前の素の性格と思考が表に出てくるのでヤバいからだ。まぁ、そのせいで、逆に行動がバカになり、色々とヤバくなっているのかもしれないが、そこは置いておく。とりあえず、俺がお前に対して出来ることは殆ど無い。この世界においては、俺は殆ど力を振るえないからだ。だから、俺はこの手段を取ることにした」


 あまり、話を聞いてませんでしたが、何をするんですかね?


「俺は、お前に常識を教える!」







 ――――というわけで、なんか良く分からない空間で、良く分からない人に常識を教わることになりました。教えてくれるというなら、教わりますよ。憶えていられるかは別ですが。


「俺の調べだと、お前って物買う時に値段とか、一切気にしないよね。何考えてんの?」


 値段とかいちいち気にするなんて、平民のすることだろうに、何言ってんですかね?


「それ、おかしいからな。なんで、銅貨十枚の物を買うのに、無造作に銀貨一枚とか出すの?十倍の値段だよ。貰った方は儲かったじゃなくて、ビビってるからね? お前を騙そうと安物の剣を名剣と偽って、銀貨五枚を要求するつもりだった商人は即金で金貨一枚貰って、顔面蒼白になってたから」


 儲かったなら良いじゃないですか?


「いや、要求の二十倍の額貰ったら、怖いだろ? お前の意図が全く分からないんだから怖いぞ、普通。商人とかが値段釣り上げて、儲けようとしても、それは常識の範囲内であって、このくらいなら出してもらえるだろうとか、思って値段を提示するわけで、いきなりとんでもない額で払われたら、訳が分からなくなるんだよ。お前が何考えてるのか分からないんだし、どんな裏があるのか分からなくなるしな。お前は気づいてないけど、お前、商人とかに怖がられてるぞ。なまじ、お前がゴロツキどもに慕われてるから、あとで、過剰に代金を取ったことに対して、どんな難癖をつけられるか分かったもんじゃないって。それに、お前が勝手に代金を払いすぎたにも関わらず、一部の商人は代金をだまし取った詐欺師だと思われてて、すごく評判悪くなってるからな。お前が強引に支払った感じなのに」


 話は良く分からんが、金貨の一枚や二枚で大げさだなぁ。俺の実家には金貨なんていっぱいあったぞ。


「王国でも有数の名家のアークス伯爵家基準で考えるんじゃない。それに、お前の家だって、親父や兄貴は、そこまで金に無頓着じゃなかったからな?」


 そこら辺は、俺の家族がケチクソだったって話じゃないのかね。


「そうじゃないから。お前の家族がケチだったら、この世界の人間の大多数がケチになるから。あと、お前気づいてないと、思うけど、宿屋のアミリーちゃん、宿代貰いすぎて、本気でビビッてたからな。あの娘、お前に抱かれないといけないとか思いこんでるからね。宿代の代わりに自分を好きにさせるしかないとか、ぶっ飛んだ思考になってるから」


 アミリーって誰ですかね? 記憶が無いんですけど。


「宿屋の女の子だよ! 名前くらい憶えておけよ!」


 俺って、エロいのには、興味があるけど、女にはそこまで興味ないんだよね。俺基準の『お』『か』『し』を満たしてないと、イマイチ関心が湧かないというか。

『お』は、『お』っぱい

『か』は、『か』お

『し』は、『し』り、もしくは、あ『し』

 ってな感じで、項目のうちの最低でも二つを満たしてないと、そこまでというか、なんというか、ごめんというかね、あれなんですよ、あれ。


「すがすがしいほどに下衆だな、お前! もういいよ、とにかく宿屋の女の子はアミリ―ちゃんな! それだけは憶えとけ。あと、金払いすぎだって理解しとけ!」


 金貨を何枚か払った記憶はあるけれど、別におかしかったかな? 俺が話に聞く宿は、そんくらいらしいけど。


「下町の安宿と、貴族が泊まる宿を一緒にすんじゃねー!」


 うっわ、キレました怖いです。ブルブル。それに続けて、なんか色々と言ってきます。


「速攻で殴り合いをするんじゃねー! 一晩で殴り倒した相手の数が、三十人を超えた時点で、おかしいなと思って、別の解決手段を探せ! なんで、来るもの拒まずで、殴り明かしてんだ! 自重しろ!」


「オークとゴブリンを間違えんじゃねー! どう考えても違うだろうが、なんで、まぁちょっと変わった見た目の人もいるよね――的な感覚で倒してんだ!」


「なんで街を歩いていて、全く疑問に思わず、人助けしてんだ。少しは躊躇しろよ! お前、家を追い出されてんだぞ! 目立つと実家から何かありそうだとか考えろよ!」


「教会のシスターに淫乱はいません! 基本的に処女ですから! 頭の中で変なレッテル張るな! カタリナって名前で呼んでやれ! あと、発情していたわけじゃないから! 普通にお前に見られて照れていただけですから! 顔が赤くなってたり、息が荒かったのも、息切れとか体力が無くなってただけだから! ついでにヴァンパイアさんじゃないから! ヴァンパイアって種族名の魔物だからな!」


「まったく状況を把握してないくせに、公爵令嬢とかヤバそうなものを保護してんじゃない! 普通、公爵家の娘とか、家を追放されませんからね! 分かってんのか、あの娘一番ヤバいからな! なにがヤバいって、全く外部から作為を受けてないのに、お前に次ぐレベルだから!」


「素性が知れない奴を全く警戒せずに、ついて行くんじゃねー! ついて行ったら、行ったで、ちゃんと話を聞け。全く理解してない癖に、何訳知り顔を装ってんだ! 分かんないなら、分からないって言えよ!」


「状況読めずに首突っ込んでじゃねー! みんな困ってんだろうが! あの悪魔とか、お前のことを伝説の勇者とか、ガッツリ勘違いして死んだぞ。名前とか名乗ることも出来ず、滅んだからな!? あれでも、この世界では、トップクラスの実力者だからな!」


 なんか、むっちゃ怒鳴られました。で、なんの話でしたっけ? すいません、途中から聞いていませんでした。


「お前、なんなんだよ、もう!」


 なんかガックリしてますよ。ざまぁないですね。まぁ、なんとなく慎重に動けって言いたいのが分かりましたよ。どういう行動が慎重なのか、全く分かりませんけどね!


「もういい、とにかく今後、お前が最悪な行動を犯さないように、教育してやる」


 なんか、そんなことを言って、彫りの浅い人は、キリッとした表情に戻りました。


「現状は違うのかもしれないが、根っこが同じなら何が起こるのか分からんので、ゲー、いや、物語中のお前の行動を見せ、反省を促す! 自分の悪行を目にすることで、自分の邪悪さを知り、真人間になるんだ!」


 そういうわけで、なんか絵を見せられました。美人さんと美男子が子供に囲まれて幸せそうにしている絵でした。ハーレムですかね。いやぁ、うらやましい。


「百時間以上の時間をかけて、ようやくたどり着いたハーレムエンド。そして、全てのプレイヤー絶望に落とした画像だ。この絵を見て何か思うことはないか?」


 いやぁ、なんというか、この絵の子どもたちって俺の子どもかもしれないって思ったことぐらい?


「そうだよ、お前の子どもだよ! 必死でフラグ回収しつつ、全キャラを攻略してハーレムエンドにしたと思ったら、嫁は全員寝取られてて、子どもは全員お前の子どもで、主人公はそれに気づかず、幸せに過ごすっていうクソエンドだよ。メーカーの頭がおかしいって言われた、一番の理由だよ!」


「なんで、選択肢一つ間違えただけで、次の日には寝取られてんだ! 訳わかんねぇ! なんで戦闘中に回復アイテムをケチっただけで、次の日には寝取られ完了してんだ! おかしいだろ!」


「どんだけ、ヒロイン攻略能力高いんだよ! ボスよりお前に対して警戒してたっつーの!」


「選択肢間違ったら、急に敵になるし。敵になったら、メインヒロインだと思ってたキャラが、いつの間にか堕ちてて、主人公を刺しに来る。女主人公にしたら、ゲームオーバー時にレイプ目でお腹さすってる場面になるし、最悪だ、お前!」


「何時間もかけて、ようやくモノにしたヒロインが、お前に一分で堕とされるのが、どんだけ辛いか分かるか! おまえネット上の伝説だぞ。お前が登場した瞬間に既に登場人物は寝取られている。難攻不落なヒロインでも、きっとアロルドさんなら犯ってくれる!って薄い本の大人気要員だからな!」


 なに言ってるか分からないんですけど、この人。怖いんですけど、マジで。ちょっと私情がこもりすぎじゃないですかね?


「そりゃ、こもるわ! ガッツリ胸糞悪いエンディングを体験したんだからな! お前の息がかかってないハーレムエンドにするのがどれだけ大変かわかるか!? 有志が必死で作成した票を確認しながらHPの一桁単位まで管理しなきゃならんのだぞ! だけど、それやるとお前が敵にならず生き残るルートで、悶々とするし。『受けると思いました(笑)』って、馬鹿にしてんのか、クソメーカー!」


 いや、訳わからないんですけどね。そういう話だったら、自分の部屋で壁に向かって話しててくれませんかね。


「とにかく、そういう色々な人が絶望するような状況にならないように、お前は気をつけろって話だ。……ところで寝取りって、どう思う?」


 いやまぁ、特に何も。女性に愛想つかされる男の方が悪いんじゃないですかね?


「お前が愛想つかされて、別の男のとこに行ったらどうすんだよ?」


 女性のそういう奔放で自分勝手な所を可愛いじゃないですか、そういうのを許してあげるのも男の甲斐性でしょ。それに自分よりも良い男を見つけたなら、喜んであげるのが筋だと思いますけど? 逆に俺の所に来る人も受け入れますけどね。


「お前の女が別の男の子を孕んで、お前の所に来たら、どうすんだよ?」


 言ってる意味が分かんないんだけど。子どもは子どもで別の話じゃないかな。誰の子どもでもちゃんと育てるってのが、道徳的に正しくない?


「お前の言っていたことは、道徳的に全く正しくないけどな! とにかく、お前が色々とおかしいのは、分かった。常識を必ず教える、絶対にだ! おまえ、そのままだと、絶対に幸せな家庭を壊すことをするのは間違いない! 超絶自由恋愛主義で、実は父親が違うって家庭が大量に発生するに違いないからだ!」


 なんか、そういうわけで、説教を受けました。あんまり聞いてませんでしたけど。しっかし、いつになったら、この人の話は終わるんですかね。



夢の中は次で終わります

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