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信じられるもの  作者: とてと。
2/2

やっと会えたね

(^v^)

まさか。まさか彼は本当にアルなのだろうか。

そして姿が変わってしまった自分に、ヴィオラだと気が付いてもらえたのだろうか。由梨の期待が膨らんだ。


今まで前世の記憶を持った人と会ったことがなかったから、胸が高鳴る。

小さいころはその夢で悩んだりしたのだ。前世の記憶と現世の自分が絡み合い、時折ボロを出してしまうこともあった。

彼にもっと近くで、会ってみたい。



「____次に、在校生代表の話ですが、生徒会長が海外出張のため欠席です。代わりに副会長から話が___」


入学式なんて、早く終わればいい。









この学園は、成績順だ。家柄は関係なく、成績が良い順にA、B、C、D、Eと並ぶ。

成績が悪いと家の評判も下がることになってしまうので、皆必死に勉強する。その結果、クラスメートがテストのたびに変わるなんてものはあたりまえのようにある。


由梨は当然、Aだった。そしてやはり次席のアルベール・エマニュエルもAだった。

体育館からそれぞれのクラスへ歩くために出席番号順に並んで出る。

由梨はアルベールよりも後ろだったので、彼の後姿を見ることができた。


やはり何も変わっていない。金髪は前世と変わらず艶やかだし、身だしなみもきちんとしているところがアルのようだ。

変わったところといえばアルも背が高いくらいだろうか。


アルはヴィオラよりも歳が3つほど下で、他の同い年の子よりも華奢だったから、身長はほぼ同じだった。

しかし今。アルベールは由梨よりも20cmは高い。


じっと彼を見つめていると不意にこちらを振り向き、にこりと微笑んできた。

優しい笑顔も、変わっていない。



クラスにつき席に座り担任の挨拶を聞く。担任の方も結構な金持ちのようで、周りの生徒たちは先生は○○家の息子なのよ。などと噂話をしていた。

その後自己紹介が終わり、下校の時間になる。


自己紹介の時に由梨が適当に挨拶をした後、教室はざわめきで埋め尽くされていた。声が小さくてあまり聞き取れなかったが、内容に「平凡」やら「平民」などの単語がかなり混ざっていた気がした。

実際その通りだから仕様がない。と特に反応もせず由梨は次の生徒にバトンタッチをした。今下校する時まで、噂は絶えなかった。


誰も居なくなった配布された教材を鞄に詰めていると、机に黒い影が落ちる。

顔を上げるとアルベール・エマニュエルがこちらを見ていた。

吃驚して動けずにいると、アルベールが由梨の右手を取り屈み、手の甲に口づけを落とす。その姿は前世、アルとヴィオラの忠誠を誓うものと酷似していた。


「ヴィオラ様」


その声を聞いて、思わず涙が出た。悲しくもないが、涙が出た。自分の前世の名前を呼んでもらえたからか、それとも前世の記憶を持つものに初めて会ったからかわからないが、とにかく嬉しいという感情が由梨を支配した。

涙は頬を伝い、右手の甲に落ちる。彼の左手がその雫をなぞり、そのまま上へ延び、由梨の頬を優しく包む。親指を動かし、瞳のふちにたまった涙をぬぐう。

その動作はひどく静かでなめらかで、自分の心臓の音がやけに頭に響く。


やはり、そうだ。目の前に居る彼が、


「アルでございます。覚えておりますでしょうか」




正面から見ても、優しい笑顔は何一つ変わっていなかった。








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