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ダンジョン作成は安全優先  作者: 西脇
1章 ダンジョンマスター始動
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7節 開放準備

 食後もセレーナとの会話をしばらく楽しんでいたが、そのまま雑談で昼食も終えてしまった。ただその分セレーナとは仲良くなれた気がする。セレーナは最初から俺に心を許していたが、さすがに創造主とはいえ、俺はそこまでではなかったのだ。今後常に共にいることを考えれば、これも有効な時間利用だろう。

 ただ、そこで開放場所が一番決めるのに時間がかかるであろうことを思い出し、仕方なく緩んでいた気持ちを切り替えることにする。なにせ世界地図から20M四方の場所まで絞らなくてはいけないのだ。ポイントが手に入ったら広げればいいとしても、最初のエリアが悪ければポイントも手に入りにくい。


「セレーナ、そろそろ開放場所を決めようか。時間かかるだろうし。」


「そうですね、慎重に決めなくてはいけないですし。」


セレーナも反応からするとそのことを理解しているようだ。まあ知性は明らかにセレーナの方が高いのだから当然と言えば、当然だろう。ただ残念さが顔に出ているあたりは知性と関係なくてかわいらしい反応だな。


「じゃあ、コア。俺とセレーナに世界地図を表示。国や地域の特徴の説明イメージも一緒にあげてくれ。」


 セレーナにも伝わるように声にだして指示をだす。


 サー。世界地図に国や地域の説明を付して表示します。


 表示された地図イメージを見る。大陸と呼べるものは東西の二つみたいだ。二つの間の海洋は一方が広すぎるため、地図の中央に載っている方のみが大陸間を行き来する航路となっているようだ。名前も外海と内海。わかりやすい。

 西の大陸は上部が大きめの砂時計型だ。北側はジェノス帝国が統一しており、反抗勢力が存在するようだが一応安定しているみたいだ。逆に南側は混迷地帯と呼ばれ小国が連立している。

 東側はダイヤ型だ。東西南北に四つの国が治めている。北がウィン貴族連合国、東がルーム首長国、南がセイム教国、西がレヴァン王国となっている。西の大陸と違って、東の大陸の状態は安定しているらしい。主な特徴は


ジェノス帝国・・・現皇帝の元で北部を統一した帝国。

混迷地帯・・・10の小国を各王族が治め争っている。

ウィン貴族連合国・・・五大貴族を中心に統治し安定。

ルーム首長国・・・森林地帯で自治を行う8部族が交代で代表を務める。

セイム教国・・・東の大陸に広がるセイム教の教皇を中心とした国。



「軍やギルドによる積極的な討伐を極力避けることを考えれば混迷地帯が地域的には最適ですね。」


「ああ、政情的にはベストだな。人的被害を出しても、本格的に討伐しようと動き出すのにも時間がかかるだろう。あとは地形や魔物の生態・分布、近くの街道・村・町だな。」


政府などの動きは荒れている混迷地帯が一番ないだろうから、そこは確定でいいだろう。ギルドの実力者というのも自由に動けるから、安定した地域を選ぶはずだ。個人的には東大陸の都市に行ってみたいが、それは長期的な目標だな。


「地形としては、混迷地帯北部の原生林地帯でいいと思います。視覚的な隠蔽は奇襲にも役立ちますし。あとは魔物、魔物を狩りにきた冒険者、一般人、どれを狙うかで決まりますね。」


「セレーナはどれが一番いいと思う?」


自分ではそこは決めきれないので、セレーナの意見を聞く。それを元に考えていくの一番効率がいい。決して面倒なわけではない。


「わたしは、一般人をメインにすべきだと思います。対象にする町や村は少し奥地のものを選んで、開放場所自体は町や村をつなぐ道、もしくは周辺の川辺などの、村や町からは少しだけ離れた場所がいいでしょう。魔物も同時に狙え、人を殺しても魔物による隠蔽がしやすいはずです。」


なるほど、確かにその通りだな。ただいくつか疑問も残る。


「大方賛成だ。ただあんまり奥地の村や水辺を選ぶと、最初はいいが、その後地上エリアの拡大で次の人里まで時間がかからないか?それに奥地だと人的被害がでた周辺には人が来なくなりそうだ。」


「そうですね、気付きませんでした。じゃあ開放場所的には水辺ではなく道周辺ですね。それも少し行方不明者がでても通る人が途絶えないような。そうなると少し大きな町の近くになってしまいますが。」


「仕方ない。扉が見つからなければダンジョンではなく魔物だと思われるだろうから大丈夫だろう。ダンジョンとも決まらずに見破れるレベルの実力者が派遣されるとも思いにくいしな。」


「それならあとは、条件にあった場所をコアに示してもらうだけですね。」


「コア、今から言う条件の該当箇所をイメージ上で示せ。

混迷地域北部、できればその中でも東よりの原生林地帯であること。大きな街道周囲であること。多くの魔物が周辺に生息すること。以上だ。」


セレーナと考えたことをコアに伝える。この把握能力が常に使えれば便利なんだが、これが使えるのはなぜか開放場所設置目的のみみたいだ。今はまだこの部屋は空間上をさまよっているような状態だからこそ可能らしい。


サー。条件該当箇所を検索します。



複数発見したため、最も東側に位置する箇所を表示します。


現れたイメージからすると混迷地帯では北東の端に位置するシイム王国だ。西側にはカッシー王国、南にはポートラン王国が接している。さらに詳しい情報をあげさせると、南のポートラン王国とは、混迷地帯では珍しく同盟を結んでいるが、ジェノス帝国の影響を大きく受ける西のカッシー王国とは争いを繰り返しているようだ。ポートラン王国との同盟もおそらくこのためだ。そのせいで戦争中で国力は低下しているが、それでも内政的には混迷地帯では珍しくまともで内部は安定しているみたいだ。

 ポイントとしてはそのシイム王国の中でも西側の中心都市と東部の首都の間の街道付近だ。どちらかといえば、西よりの地点。


条件としては最適な位置であることを感じ、セレーナも安心したようだ。


「理想に近い場所が見つかりましたね。内政がまともだから戦時中であっても内部の流通はそれなりに頻繁でしょうし、国力は低下気味で西部の守りが必要だから、軍隊の派兵もすぐにはなさそうです。人の住む地域までは遠そうですが、街道沿いにエリアを拡大すれば無駄にはなりませんし。」


「まったくだ。条件を絞りすぎたかと思ったが見つかってよかった。」


「あとは開放して地上エリアを広げるだけですが、早速開放されますか?」


そうしようと最初は思っていたが、疲れたな。本当は場所決めはもっと時間がかかると思っていたしな。命がかかってると思うと、まだ安全でもやはり緊張がある。休むことも大事か。


「いや、今日はやめとこう。ただでさえ色々真剣に決めて、疲れもある。開放した当初は多分何もなくても緊張が続くはずだからな。開放は明日にしよう。今日は一緒にゆっくりすごそう。」


この言葉だけでセレーナは最高の笑顔を見せてくれる。本当に創造最高だな。

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