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第6話 強襲!ムンバイからの使者

 入学式から、一週間が経った。

 新学期特有のドタバタな空気感も少し落ち着きをみせて、学校全体にのんびりとした空気が流れていた。


「ふんふふふふん、ふんふんふん、いえいっ♪」


 そして、人一倍のんびりと鼻歌を歌いながら、みつばは中庭を歩いていた。

 別になにかいいことがあったわけではなく、コレが日常のテンションなのである。

 そのみつばの鼻歌と歩みが、ぴたっと止まる。

「あ、ローハン!」

 やっほー、と。

 ベンチに腰掛けていたローハンを見つけて、みつばはブンブンと陽気に手を振ってみせた。

 ローハンはそんなみつばを見るや、ため息混じりに膝に手を当てて立ち上がる。

「いつも楽しそうでいいな、キミは」

 いつも、みつばやころねがわいわい騒いでいるのを、静かに見ているローハンだったが。流石にローテンションが過ぎるように感じて、みつばはローハンの顔をのぞき込んだ。

「どうしたの?」

 小柄なころねがのぞき込んだ時と違って、割合に近くにあるみつばの顔に、ちょっとドキっとしたローハン。

「別に、なにも……」

 と、慌てて目線をそらした。

 そして、その態度が不自然なものに感じたのだろう。ローハンに向かって、さらに口を開こうとしたとき。


『キン!』


 突然、近くから響いた甲高い金属音に、みつばの声は遮られた。

 何事かと身構えるローハンとみつばの耳に、世にも情けない声音で


「あー!ドラシャ折れたーっ!」


 と。ころねのやっちゃったボイスが聞こえたのだった。

 その直後に、ひゅ~ん……と、何かの装置が止まるような音も聞こえてくるあたり、ころねが何かしらやっちゃったことは容易に推察できる。

 二人して肩をすくめながら、みつばとローハンは音が聞こえてきた方向を目指すべく、体育資材倉庫の裏に回り込んだ。

 すると、そこには……

「ここも手を入れないと、ダメか~」

 と、件の自転車……のようなメカの前で、頭を抱えているころねがいたのだった。

「駆動系を全見直しかあ……今日、試運転出来ると思ったのに~」

 と、ボヤキ続けるころねを見て苦笑するみつばを余所に、ローハンは件のメカ……確か『ころね号』だったか――の駆動部をのぞき込む。

「パワーユニットだけグレードアップして、その他の駆動系に手を入れてないのか?」

 突然現れた二人に目を丸くしたころねだったが、目の前のメカの方が重大事と見え、すぐに視線を駆動部に戻した。

「一応、手を入れたんだけど……金属疲労起こしてたのかなあ?」

 ローハンは、改めて破断したドライブシャフトを見た。ドライブシャフト破損のケースに良くある、シャフトの端っこのジョイント部が破損したような状態ではなく、シャフト本体が見事に真ん中からポッキリ逝っている有様だった。

「……一体、どんな負荷をかけたらその太さのスチールシャフトが折れるんだ?」

「ただのスチールシャフトじゃないのになぁ。多軸多段階鍛造した鋼材をプリセットした上でショットピーニングしたりして、強度にはすごく気をつかったんだよ!」

 何百馬力・千ウン百キロという自動車のドライブシャフトですら、今時の技術ならば薄肉&中空で強度が確保できる。だが、ころねの言う加工内容はドライブシャフトと言うよりも、戦車などの足回りに使われるトーションバー……棒バネを作るときのそれの様であった。

 その加工内容を把握したローハン、ため息を吐きながら眼鏡をくいっと指で上げる。

「だから……そんなものが、何をどうしたらこんなに綺麗に破断するんだ?」

 元の鋼材から比較して優に2倍以上の強度になるはずの加工内容を聞いて、まるで磨き上げたようにすべすべな――それくらい一瞬で綺麗に折れている――破断面を見て、ローハンは解せない顔つきになる。

 その横でまったく理解できない顔をしているみつばを置き去りにして、ころねはうーんと考え込みながら腕を組む。

「ドラシャ周りの構造かな~。もともと自転車だし、大馬力を前提にしたものじゃないから……」

 ベースになった自転車がシャフトドライブのものだったんだろうと思いつつ、ローハンはあきれ顔になる。

「ドライブシャフトだけじゃないだろ。フレームだって大馬力どころか、人力しか前提条件にないはずだ」

 それは補強したんだけどねえ、と情けない顔のままころねは呟く。いろいろなパーツが組み込まれている為、『かろうじて』自転車と分かる車体をじっと眺めた。

「そっかあダメかぁ……ここら辺はMark3のままで行けると思ったんだけどなあ」

 そのMark3だって、マトモに走ってなかっただろう。

 そんな感じのジト目でローハンはころねを見た。

「そもそも、あれはインホイールモーターだっただろ……って」

 いいながら、ローハンは違和感を感じてもう一度駆動部を見た。

 タイヤにモーターを組み込むインホイールモーターでは、足で漕ぐときにしか使わないであろうドライブシャフトの後端が、オートバイのエンジンよろしくフレームに収まっているモーターに接続されているのを見て、ローハンは怪訝そうな表情になる。

「モーターで駆動してるように見えるけど、例の超伝導モーターは諦めた?」

「ハイフロイドのタンクが見えるでしょ?超伝導ホイールモーターをアシスト動力にして、通常モーター駆動とのハイブリッドにしてみたんだよ」

 と、こともなげにころねは言うが、駆動原理も異なるようなモーター同士をうまくタイミング合わせて駆動するのは、何かと大変――と、ここまで考えて、ローハンはドライブシャフトが折れた理由がおぼろげにわかっちゃった気がして、思わず口をつぐむ。

(いったい、どれだけの出力を出してるんだ……??)

 ころねはそんなローハンに、ぺろっと舌を出しながら苦笑してみせる。

「おかげで、重量はバイク並みになっちゃったけどね」

 フロントとリアフレームのボトルケージにそれぞれ700mlのハイフロイド――凍結冷媒である――をドリンクボトルよろしくマウントしているのはいいとして、リアの両側にサイドバッグのように巨大なバッテリーを2つ積み、それにふさわしい大きさのモーターがフレーム中央に鎮座ましましているのを見て、ローハンは呆れた表情のまま首を横に振った。

「ペダル付いてても、漕げる重さじゃないな」

 フレームも補強の結果、自転車にあるまじき重さに成り果てて、結構な大きさのモーターを追加されている始末。そもそもバッテリーだけでウン十キロである。

 モーターを切って自転車っぽく漕げる構造になっているが、競輪選手並みの脚力でも、足こぎで走らせるのは厳しいだろうと言うことが容易に推察出来る。


「――よお、元気か?」


 そして、突然。

 やたら大きな手で、どしっとローハンは背中をどやしつけられた。

 軽くよろけるローハンを見て、どやしつけた当人はワハハと陽気に笑う。

「おはよー、アンディ」

「やっほー、アンディ」

「Howdy y’all! 2人とも、元気そうだな」

 振り返って、ころねやみつばと談笑するアンドリューの巨体を見上げながら

(ああ、アンディなら漕げるかもしれないなあ……)

 とか考えつつ、ローハンは少し不服な感じで応じる。

「キミはいつでも元気そうだな」

「昔、風邪ひいたことあるぜ」

 思い出レベルなんだ、と横で聞いていたみつばは思わず苦笑する。

 アンニュイな感じに肩をすくめるローハンの顔を、腰を屈めてアンドリューはのぞき込んだ。

「いや、ずいぶんシケた顔して歩いてたから、心配で見にきたんだ。なにか悪いモノでも拾って食ったんじゃないかと思ってね」

「……心配してくれるのはありがたいが、拾い食いはしないよ」

 ひょっとしたら、これが『アメリカンジョーク』と言うヤツなのかと思ったが。別段付き合う義理もないと、ローハンは相変わらずのローテンションである。

 さすがに、ココまで来ると気分が沈みすぎているのではないかと、ころねも心配げにローハンの顔を見上げる。

「何かあったの、ローハン?」

「いや、別に……っ!?」

 ローハンところねが会話しているとき、出し抜けに。

「水くさいな、ローハン」

 と、アンドリューはローハンの肩にガッシリと腕を回した。

 肩に回したはずの腕が……サイズの問題か、はたまた別の要因か……ガッチリとフェイスロックが決まった感じになる。アンドリューもさして力を入れているように見えなかったが、基礎筋力の違いか、ローハンの顔がみるみる赤くなっていく。

「わ、分かった! 話す、話す! 話すから、放してくれ!」

 腕を数回タップして、アンドリューにギブアップの意思表示をするローハンを開放して、アンドリューは悪気がなさそうにニコニコ笑う。

 その前で、ひーひーと、苦しげに息を継いでいるローハンを、なんとなく気の毒そうな感じにみつばは見た。

「じゃあ、学生ホール行こうか?」

 そんなころねの提案に特に誰も異を唱える人間はおらず。

 その場に散乱した工具や部品を手早くまとめたころねを先頭に、一同は学生ホールへと向かうのだった。


 そして、学生ホールに到着した一同が目にしたのは……

「やあ、みんなこんにちは」

 入り口近くのテーブルを陣取って、にっこり笑うジョンスと。

「良かったら一緒に座りましょ」

「いー、ある……みんな、座れるヨ!」

 ジョンスの向かいの席に座っている、エリーズとシュエランだった。

 何故か、みんな豆乳を手にしている。

 ……いや、ちょっと考えれば、理由は分かる気もするが。

「この豆乳、美味しいわね」

 抹茶味の豆乳を飲みながら、エリーズは上機嫌に微笑む。その取り合わせがなんだか意外で、みつばは少し目を丸くする。

「フランスにも豆乳ってあるの?」

「ヘルシーな飲み物って感じで、売ってたわよ」

 と、言い置いて。エリーズはくすっと笑う。

「ただ『原材料:「Tonyu」』って書いてるのもあるのよ。日本から輸入したのかしらね?」

 杏仁風味の豆乳を飲んでいたシュエラン、にこやかに補足を入れる。

「豆乳は中国で『豆漿』っていうのヨ。暖かくして砂糖入れて朝飲むコト多いヨ。油条って揚げパンみたいノを浸して食べたりするヨ」

 それを聞いたジョンス、うんうんと頷く。

「中国が豆乳発祥の地だからね」

「淮南ネ。昔々、淮南王の劉安が病気で食事食べれナイなった母親に、水に漬けた大豆をすりつぶして漉した豆乳を飲ませたノネ。そしたら、母親の病気治ったノ。それが広まったって話ヨ」

 ちなみに、劉安は三国志でおなじみ漢の高祖、劉邦の孫である。また、日本には平安時代に遣唐使が持ち帰ったのがはじめとされる。

 そして。

 そんな豆乳の豆知識(豆乳だけに)を披露しながら、ジョンスは例のトートバッグから豆乳を取り出してみつば達に手渡した。

 みつばやころねが豆乳代の小銭を渡そうとするのをやんわりと押しとどめ、にっこりとジョンスは微笑む。

「昨日、電気街を歩いていたらポット型の豆乳メーカーを見つけてね。早速買ってみたんだ」

「豆乳メーカー?」

 家で作れるものなの……と聞こうとして、劉安が自分で作った逸話を思い出したみつば。それに関して得心がいったものの『豆乳メーカー』なるものが、どんなものなのか見当が付かず、軽く小首をかしげる。

 そんなみつばに、最高の笑顔を見せてジョンスは語る。

「やはり、作りたての豆乳は別格だね。たまらなく美味しいんだよ」

「簡単に作れるの?」

 みつばのその問いに、相変わらずの笑みで

「大豆を入れて、水を入れて、スイッチを入れて35分待つだけ。凄く簡単だ」

 と説明したジョンスは、よくぞ聞いてくれたといった風にうんうんと頷いた。

「普通の豆乳メーカーは、乾燥大豆の場合5~6時間水に漬けなければいけないんだけど、昨日見つけた機械はそのままセットして作ることができるんだよ」

 それはそれは、嬉しそうに目を輝かせてジョンスは語るのだが、あいにく豆乳メーカーを使ったことがある人間が他にいないので、全体のリアクションは今ひとつ薄い。

 しかし、そんなことにめげる様子もなく。ジョンスはシュエランの方を見て微笑む。

「豆乳ができた後に、おからもできるんだ。そのおからの調理法を、今シュエランちゃんに聞いていたところだったんだ」

「卯の花にしても、モチロン美味しいケド。肉団子とかつくねに混ぜて作っても美味しいヨ。それに、その方が経済的ダカラ」

 オーブンがあれば、パウンドケーキとかも美味しいヨ、と。

 次から次へと出てくるシュエランのおからレシピで、主に女性陣が盛り上がった。

「パンケーキもいけそうね?」

「クッキーなんかも美味しいよね」

 そんな中、まるで料理をしない男性陣と、そう言う方向のスキルがないころねは黙って豆乳を飲んでいるのだった。

 そして。

 豆乳話も一段落付いたところで、エリーズは小首をかしげてローハン達を見た。

「それで、みんな深刻な顔をしてたけど、どうしたの?」

「心配事かい?力になれればいいのだけど……」

「あいや、話聞くヨ」

 そんな心配そうな3人の言葉を聞き、ローハンやみつば、ころねのこれまた心配げな表情を見て、ローハンはふう、と息を吐く。ややあって、なにやら観念したような表情で、ローハンは鞄の中から10インチのタブレット端末を取り出した――iPadではなく、聞いたことのないメーカーなあたりがいかにもな感じであったが――ローハンは画面の短辺を上から下にすうっとなぞって、液晶を電子ペーパーモードからカラーLCDモードに切り替える。


「実は……一昨日の夜、ムンバイの父からこんなビデオレターが届いてね」


 言いながら、ローハンはビデオプレーヤーを立ち上げる。

 一拍おいて画面に映し出されたのは、ローハンと同じ褐色の肌の、50代と思しき裕福そうな男性だった。

 男性――おそらくローハンの父はくつろいだ態度で、しかし、機嫌の悪そうな表情で話し始めた。

『久しぶりだな、ローハン』

 背景はいかにも大会社の社長室といった風情の部屋だった。不機嫌な目元はそのままに、ローハンの父は口元を少し皮肉に歪ませる。

『先日来、メールの返事がないようなので、入院でもしているのではないかと心配したが……そうではないという報告を先ほど受け取った。まずは、元気そうで何よりだ』

 言葉の意味を計りかねるみつばところね、シュエランは、少し怪訝そうな表情になる。

 一方、どうやら探偵の類を用いて、ローハンの動向を調査したらしいと言うことに気がついた他の人間は、少し眉根を顰めてみせる。

『さて、メールでも何度も言ったことだが、改めて言おうか』

 先の発言と合わせて、ローハンは父からのメールを無視しまくっていたようだ、と推察出来る中。

 ローハンの父は、これ以上なく明快にこういった。


『ムンバイへ戻れ。これ以上の我儘は許さん』


 聞き違えようもないほどの明確な言葉に、一同息をのむ。

 そんな中、逆にため息を吐いたローハンは、苦り切ったような表情を見せる。

『お前ももう道理の分かる年齢になっただろう。これ以上、父を困らせるな』

 ローハンは16歳。大人ではないが、子供でもないという年頃である。

 父は机の上に肘をのせ、組んだ両手の上に顎をのせ、怪訝そうに片眉を上げてみせる。

『お前がなんらかの研究をしたいと言うのは分かっている。それならばオックスフォードでもMITでも良いだろう。なぜ、日本――秋葉原に固執するのだ?』

 秋葉原が『研究機関』と言うイメージのない街であることは確かである。

 また、世界の中での日本の研究機関の位置づけは必ずしも高くなく。最高学府の東京大学ですら、2011年の世界ランキングで第30位という微妙な位置づけである――それでもアジア勢のトップではあるのだが――どうせ研究するなら、世界トップクラスの大学が名を連ねるアメリカやイギリスでと言う父親の気持ちも分からないでもない。

 そんな微妙な空気が流れる中、父親はやれやれと言った風情で首を横に振る。

『いずれにせよ、まともな大学に入るためには相応の準備がいる。こんなところで油を売っているヒマなどないはずだ』

 なにを、と。

 むっとするみつばを余所に、父親は一方的に宣告する。

『金曜日に迎えに行く。このビデオメールに返事がない場合には、力尽くで連れて行くから、そのつもりでいるように』

 無論、ビデオメールであるので主張は一方的なのだが、それにしても内容的にも一方的すぎると。

 見ていた一同が、一斉に憮然とした表情になる中、父親はこのビデオレターの中で初めて微笑みを見せた。

『いい返事をまっているぞ、可愛い息子よ』

 そう言って、画面が黒くなり再生が終わる。

 あまりの父親の言いぐさに、一同の間でしばしの沈黙が流れた。

「言いたい放題で頭にくるわ……」

 むすーっとした口調で、リューシャがそういうのを聞いて、一同うんうんと頷いた。


「――うわ!?」


 頷いた後、いきなり背後に現れたリューシャに、一同驚いて振り返った。

「い、い、いつからいたの?」

 ものすごくビックリしちゃってる顔で言うころねに、相変わらずのポーカーフェイスでリューシャが答える。

「……さっきからいたわ。おせんべい買いに行ってたけど」

 がさ、と。甘じょっぱい粉がまぶしてある『あまから』の袋を目の高さまで持ち上げたリューシャを見て、シュエランとジョンスが苦笑する。

「あいや、そうだったネ……」

「ゴメン、思わずビックリしてしまったよ」

 二人のリアクションにはさして頓着せずに、シュエランの隣にちょこんと座るリューシャ。

 それと入れ替わりに、すっくと立ち上がったアンドリューが憮然とした表情でローハンを見る。

「それにしても『言いたい放題』って言うのは、同感だ。一体、なんなんだ!お前の親父は?」

 怒りのあまりに、結構な勢いでまくし立てるアンドリューと、それにほぼ同意する表情の皆を見て。

 ローハンは諦観にも似た表情で、ぽつりと語った。

「僕の父は……インドのとある財閥の総帥なんだ」

 『財閥』という、良く聞くけど身近に感じられない表現に、一同は揃って首をかしげた。

 余談だが、いわゆるコンツェルンと、同族支配が前提の日本的財閥とは似て非なるものであるらしく、ビジネス英語として財閥のことはそのまま『zaibatsu』で通じるとのことである。

 この手の、日本語がそのまま英語で通じるという単語は意外に多く。『萌え』も、そのまま『moe』で通じたりするらしい。いや、財閥とはまったく関係ないが。

「跡取り息子、ってこと?」

「いや……僕は四男だから。いずれ経営陣に入るかも知れないが、後継者とかにはならないよ。兄達は揃って優秀で、父親の覚えも良いし」

 エリーズの質問に、淡々と答えたローハンだったが、ややあって沈んだ表情で付け加えた。

「だから――夢を、追えると思ったんだけど」

 う、ん……と、なんとも言葉が浮かばずに黙ってしまうエリーズにかわり、ころねが心配そうな表情で口を開く。

「ロボットをつくるんだっけ?」

 え……?

 ころねの問いに、ローハンは驚きと戸惑いが混ざったような顔を見せた。

 なんで、知っているんだろうということなのだろうが、そんなローハンに、ころねはニコっと笑ってみせる。

「ツイッターで言ってたよね?」

 そうか、と得心顔になったローハン。確かにそんな呟きを以前したことがあると思い当たったのだろう。

 そして、遠い目になったローハンは、なにかを思い出すようにゆっくりと話し始める。

「そう……僕の夢は、子供のころに見たアニメに出てきたロボットを作ること」

 言ってから、ローハンは少しおどけるように肩をすくめてみせる。

「誰かさんみたいに、戦闘用の巨大ロボを作りたいわけじゃない――人間と一緒に生活して、友達になれるようなロボット。苦しいときや困ったときに力になってくれるような……そんなロボットを作りたいんだ」

 イメージとしては十万馬力の男の子型か、はたまた球体基調の二頭身フォルムか。

 腕組み仁王立ちの巨大合体ロボットが目標であるころねは、その言葉を聞いてちょっと目を丸くした。

「それで、秋葉原なの?」

「うん――日本はロボット大国だ。産業用ロボットの世界シェアは実に約70%。ぶっちぎりの世界一だよ。二足歩行ロボットの研究も世界で一番進んでいると言われている」

 世界初の二足歩行ロボットは日本製であると言う。

 海外のSFに出てくるロボットは人類の敵として出てくるケースが多いのに対して、日本の漫画やアニメに出てくるロボットは、人類の友として登場するケースが多く、そのイメージの差が研究者の多さにつながっていると、まことしやかに言われている。

 ちなみに、ホンダの二足歩行ロボットASIMOを開発した広瀬氏が、入社して最初に言われたのも『アトムを作れ!』であったと言う。

「この秋葉原には産業用じゃないロボット専門店がたくさんある。無論、ロボット専門店じゃなくても、ロボット開発に関係するものを扱っているショップは山ほどある」

 二足歩行ロボットは、少なくとも今日では産業に寄与することもほとんどなく、おおむね趣味的な位置づけのロボットである。故に、軍事利用や災害時の利用など実用面を意識したロボットを研究する海外と異なり、趣味的な二足歩行ロボットを作り出そうという研究者が多い点が、日本のロボット研究においての特異点だと言う意見も少なくない。

 そして、一般のエンドユーザーが扱える範囲での趣味的なロボットの専門店が商売として成立する街――日本における電子工作の聖地――それが、秋葉原である。

 その事を充分理解した上で、ローハンは明確な意思をたたえた目で、真っ直ぐに前を見た。


「僕はこの街で――『電気の街』秋葉原で様々なことを学びたいんだ……!」


 その熱意に圧倒され、言葉を失う一同だったが、ややあってエリーズが少し苦笑ぎみにローハンに向き直る。

「そこまでハッキリした理由があるなら、お父さまもわかってくれるんじゃないの?」

 その一言で。

 前向きに燃えるローハンの瞳が、途端に伏し目がちになってしまった。

「いや……最初から父は日本行きを猛反対していたんだ。それに、決めたことを絶対に曲げない人だし」

 それは諦めが色濃い口調であり、なぜここまでローテンションになってしまったのかわからぬままに、ころねは首をかしげた。

「反対って……なんで?」

「体裁とか見栄とか……そんなところじゃないかな? 僕にロンドンかマサチューセッツか、どちらかに行かせたいんだろう。聞こえがいいしね」

 インドにとってのイギリスというのは、やはり特別なイメージがあるものなのだろう。

 また、いわゆる『ルート128』と呼ばれる米国先端技術産業の集積地の象徴でもあるMIT、ハーバード大学などのブランド力はすさまじいものである。

 もちろん、大切なのは『そこに入ること』ではなく『そこで何をしたか』なのであるが、自分の息子がそうした名前の通ったところで学ぶというのは、商売人の父親としては重要なのだろう。

 そして、ころねはみつばに向かって、すこし遠慮がちに尋ねた。

「……みつばは、マサチューセッツにいたんだっけ?」

「うん……ボストンの全寮制の学校に」

 いわゆる『ボーディングスクール』と呼ばれる寄宿学校に、アメリカ在住時のみつばは入学していた。

 父親は多忙極まる外交官であり、勤務地はワシントンD.C.の日本大使館であるから、全寮制の学校のほうがお互いにとって好都合だったのかもしれない。

 ローハンの父親が理想とする土地から、真逆の評価をされた土地へと移ってきたみつばとしては、なんとも複雑な心境でローハンの話を聞いていたのだった。


「まあ、わからないでもないなあ……」


 だしぬけに。

 アンドリューがため息まじりで、話し始める。

「俺の親も、日本に行くって言ったら猛反対したからな」

 彼に似合わぬ陰のある表情に、引っかかりを感じつつ。みつばはストレートに疑問をぶつけてみた。

「なんで?」

「ウチは典型的なWASPだから、まあ……色々とな」

 WASP――アメリカにおける典型的な白人――ここが思考のベースになる両親の言葉を、白人ではないみつばに言うのをためらったのだろう。アンドリューは彼らしからぬ歯切れの悪い言い方でお茶を濁した。

 その様子を見て軽く肩をすくめたエリーズは、ずいっとローハンに歩み寄る。

「でも『力尽く』ってどういうことよ?無理矢理担いで連れて帰るの?」

 はあっ。

 深く、短いため息をローハンは吐く。

「そのくらい、やりかねないんだよ、僕の父は」

「なに?アナタの父親はシュワルツネッガーかチャックノリスかってワケ?」

 すっかり諦めているローハンの様子にいらだちを感じたのか、エリーズの口調がきつくなる。

 そのやりとりをみて、みつばは二人の間に割って入った。

「いずれにせよ、ローハンを連れて行かれるのはダメだよ」

 御説ご尤も、と。

 ころねも深く頷いてみつばの横に立つ。

「そうだよ、せっかくみんなと友達になったんだから」

 そして、今までリューシャとおせんべいを食べていたシュエランが、諦観のような困惑のような、なんとも複雑な表情を浮かべているローハンを見て

「ローハンは行きたくないネ?」

 と、問いを投げた。

 その問いに対して、ローハンはほぼ即答、と言う勢いで。

「もちろん」

 と、答えを返す。

 そのやりとりをみて、エリーズは満足げに微笑んだ。

「じゃあ、お父さんにはひとりで帰ってもらうしかないわね」

 言い置いて、リューシャに貰った煎餅を一口かじる。香ばしく焼かれた醤油のしょっぱさとザラメの甘さが絶妙なマッチングを見せていた。

 みつばは、しっかりとした表情で頷いて、一同を見回した。

「金曜――明日ローハンのお父さんが来たら、皆で説得しよう」

 話せばきっとわかる。

 そんな感じのみつばを、不安げな表情でローハンは見る。

 そして、そんなローハンの肩にアンドリューはがっしりと太い腕を回した。

「あぁ、ローハンの意志は固いってことを分かって貰おうぜ」

 秋葉原で暮らし、秋葉原で学ぶ。

 ここにいる全員がその想いを持っている。

「そうだね、絶対に話せば分かるよ」

 思い思いに返事をして、一同は賛同の意志を表明した。

 晴れやかな表情の一同の中、ローハンだけが不安を隠しきれないような、微妙な表情でたたずんでいたのだった。


 そして、金曜日の放課後になった。


「ローハン、いた!?」

「いや、見当たらない!」

「どこにいるんだ、あいつ……」


 みつばが、ころねが、アンドリューが。

 エリーズが、ジョンスが、シュエランが、リューシャが。

 必死に、ローハンを捜していた。

『放課後、中庭で待ち合わせしよう』

 提案したのは、ローハンだった。

 そのローハンの姿が、どこにも見当たらない。

(もしかして、もう……帰ってしまったのでは?)

 嫌な考えが、脳裏をよぎり。そのイメージを振り払うため、ぶんぶんと頭を振るころね。

 一同、中庭にいったん集合したがローハンの行方は誰も突き止めることができなかった。


 そして、突然。

「――なによ、あなたたち!?」

 中庭の一角で集まっていた一同は、正体不明の屈強な男達に囲まれた。

 黒いスーツに身を包んだ、褐色の肌をした男達は見るからに『戦士』と言う雰囲気を漂わせている。

 そんななか、みつばとエリーズがずいっと前に出た。

「一体、何の用なの?」

「ここの学生じゃないでしょ!?」

 答えはない。

 人数は5人。囲まれた、と言ったが正確には『半包囲』といった感じで、北側から押し包んでいる感じである。

 改めて見ると、全員南アジア系の外見で、特に答えはなくてもローハン絡みであることは明白だった。

「何か言ったらどうなんだ?俺達をどうする気だ?」

「黙っていては分からない。話をしよう」

「……」

 先に前に出た二人をガードするように、アンドリューとジョンスが前に出た。

 が、依然として無言の黒服軍団に、まず短気なアンドリューが業を煮やして詰め寄ろうとした……その時。


「――君たちが、ローハンの友達か」


 すう、と。

 静かに、巨大な深紅のオープンカーが黒服の背後に現れた。

 車種はロールスロイス・ファントム・ドロップヘッドクーペ。

 エンジンはBMW社製6.75リッターのV12エンジン。460馬力の大出力で2.7トン弱の巨体を軽々と240キロまで加速させる、モンスターマシン。

 価格は乗り出しで六千万円を超える、世界最大級・最高級のコンバーチブルである。

 そんな超高級車の後席に座っているのは、褐色の肌をした壮年の男性。そして――


「ローハン!?」


 完全に意識を失ったように見える、ローハンであった。

「ローハン! 返事をして、ローハン!」

「ダメだ……クソ! クスリを使いやがったな」

 眉根に険しい皺を寄せて、吐き捨てるようにアンドリューが言う。

 その言葉に息をのんだころねだったが、怒りをわかりやすく表情に浮かべて、アンドリューを押しのけるように前に出る。

「あなたは誰? いったいローハンに何をしたの!?」

「ローハンの父だ。どうにも話が進まないのでね、眠って貰ったよ」

 あくまで余裕の表情で。

 ローハンの父は、ころねの質問に答えてみせた。

 あまりに何でもなさそうに話すので、逆に言葉に詰まったころねに変わって前に出たジョンスが、険しい表情でローハンの父を真っ直ぐに見据えた。

「ローハンをどこに連れて行くつもりですか?」

「ムンバイの屋敷に連れて行く。このままハネダまで行き、ウチのジェットに乗れば明日の朝には着くはずだ」

 ローハンの父が持つプライベートジェット『ガルフストリームG650』の最高速度は実にマッハ0.925。巡航速度はマッハ0.85。ビジネスジェットながら、ジャンボジェットに負けるとも劣らぬ速度を誇る性能である。

 ちなみに、価格は65億円。年間の維持費だけでも3億円はくだらない、ガルフストリームのフラッグシップ機である。

 金持ち独特の強引さにカチンときたのか、エリーズはローハンの父に詰め寄ろうとして、黒服に阻まれてしまう。

 立ちはだかる黒服達の筋肉の間から鋭い視線を飛ばして、エリーズは言う。

「話し合いもなしに、乱暴よ!」

「話は平行線だ。いまさら、その線の長さを長くしても仕方なかろう」

 ふん、と。

 面白くなさそうに、ローハンの父は鼻を鳴らして、街の方を振り返った。

 電気街の外れにあるインターナショナルスクールだが、街の喧噪が見て取れる。

「しかし……騒がしい街だな、この秋葉原と言うところは」

 行き交う人々、いろいろなお店から鳴り響く様々な音楽。

 歩道のそこかしこに、ティッシュやチラシを持ったメイドさんが笑顔を振りまいている。

「聴覚だけではなく、視覚的に騒がしい。至る所に、漫画の娘が書いてある」

 予備知識無しに秋葉原にやってきた海外観光客がビックリする点が

(なんで、街中に漫画が書かれているんだ?)

 で、あるという。

 時期にもよるが『なんでみんなマスクをしているんだ?』と言うのがこれに続くらしい。

 それに加えてネオンも瞬き『視覚的に騒がしい』は

(……なんとなく、反論できない)

 と、返答に詰まったみつばを見て軽くため息を吐いてから、ローハンの父はため息混じりに呟いた。

「何故、ローハンはこんな街に――漫画ばかりのこんなくだらない街に、こだわっているのか?」

「――なんですって?」

 みつばの声が、1オクターブ低くなる。

 それに関して、まるで頓着することなく、ローハンの父は言葉を続ける。

「ローハンはしかるべき学校へ進学させる。これ以上、こんな街に息子を置いておけない」

 『しかるべき学校』とは、ローハンの話していたオックスフォードかMITか。

 そして、一度ならば許せたが、二度とならば流石に聞きとがめたのだろう。

「こんな街……わたしの故郷を……『こんな街』ですって!?」

 怒りがピークに達したのだろうか。みつばの髪飾りが輝き始める。


「だいたい、アナタはーっ!!」


 そう――『逆切れ超説教モード』突入である。


 みつばは、アンドリューが言うところの『50口径のマシンガンをぶちかます』勢いで、ローハンの父親に向かって

『故郷をあしざまに言われたらどんな気持ちがするのか』

『秋葉原は素晴らしい街だ』

『そもそもやり方が一方的で乱暴すぎる』

 などなど……理路整然と、しかし、猛烈な勢いでまくし立てた。

 間に挟まれた黒服軍団は辟易した表情で、自分の雇い主をガードすべく壁になっている。

 そして三分が経過して、みつばは〆にローハンの父親に向かって大見得を切って見せた。

「じょーだんじゃないわ! 訂正しなきゃ、ゆるさないっ!」

「訂正する気などない」

 落ち着いた口調で、ローハンの父親は即答する。

 みつばの『逆切れ超説教モード』は3分間の説教で、息もつかずに連続で3時間以上説教されている状態になってしまう荒技である。

 だが、ローハンの父親はそうされてもなお、まるで堪えた様子もなく平然とみつばと相対している。

 数十万人の社員を擁する、巨大財閥の総帥――その胆力たるや、並の人間のそれを遙かに凌ぐものであるのだろう。

 自分の渾身の説教がまるで通じていないと言う事実に、思わず唖然とするみつばを見て、ローハンの父親はふうと息を吐く。

「しかし、良く喋る娘だ。住んでいる人間まで騒がしいとは、この街はつくづく度し難い――もういい、車を出してくれ」

 微かに唸る、大排気量エンジンの低回転時のエグゾーストノイズがみつばの耳に届く。

 車好きならば、大概は『いい音だなあ……』と詠嘆するエンジン音であるが、みつばもころねもそんな感想を抱く余裕すらない。

「では、さらばだ。――お前たちは10分間、この場でこの子たちを足止めして、撤収しろ」

「はい、社長」

 ゆっくりと動き出すファントム・ドロップヘッドクーペを……勝者の余裕を見せてふんぞり返っているローハンの父と、まるで目を覚ます気配のないローハンを、みつばは――髪飾りが発動した反動で、崩れ落ちそうになるのをこらえて、鋭い視線で穴が開きそうな程に見つめた。

「くやしい――絶対、ローハンを連れ戻して、この街の素晴らしさをあのお父さんに教えてあげるんだから!」

 それは、入学式で決意したこと。

 『秋葉原の魅力を証明する』

 誰にでも――ローハンの父親にも分かるような形で、屈服させるのではなく理解させるようにしなければいけない。

 自分の主張が、自分の想いが通じない――価値観の違いなのかもしれないが、それでも意思の疎通が叶わぬジレンマをみつばは感じていた。

 そうして、歯がみするみつばに。

 いつの間にか横に立っているピンクの影――アンドリューが静かに、こう告げた。

「その話、乗ったぜ」

 え?

 思わずきょとんとするみつば。

 アンドリューは今まさに立ち去ろうとするファントム・ドロップヘッドクーペを見た。

「あの、派手な車を3手に別れて追いかけろ。みつばところね、エリーズとリューシャ、ジョンスとシュエラン……こんなトコか」

 黒服は5人。3手に別れてバラバラに逃げれば、少なくとも囲むことは出来ないだろう。

 みつばは頷きながらも、今挙がった名前に違和感を感じ、少し考えたあとでその違和感の正体に気がついた。

「アンドリューは?」

「俺か……?」

 ポケットから、おもむろに。

 うーさぎのキャラクターが大きく描いてある、ピンクのハンカチを二枚、ポケットから取り出した。

 そのまま細い紐状に畳んで、バンテージのように拳に巻き付けた。

「俺は、ここでこいつらの相手をするさ」

 まるで挑発するような表情で、わざと英語で言い放ったアンドリューを、黒服の男達はムッとした顔で見た。

 とん、とん……

 軽くジャンプするような感じにステップを刻みながら、アンドリューは拳を作る。

 身長194センチのアンドリューがそう言う動作をすると、実に迫力があるからか、黒服の警戒がアンドリューに集中する。

 そして、アンドリューは小声で――日本語の呟きを漏らした。

「俺は――ボクシングをやってたんだ」

 呟き終わった、その刹那。

 まるでパチンコで打ち出されたように勢いよく、アンドリューは前に踏み込んだ。

 その勢いを利して目の前の黒服の懐に飛び込み、なんのためらいも疑いもないスピードでボディを打ち抜く。

「――ガッ!?」

 言葉にならない言葉を発して、ただの一撃でその黒服が崩れ落ちる。他の黒服達は、半ば呆然とその様を見ていた。


「レッツゴー!!」


 その隙を見逃さず、アンドリューの号令が鋭く響く。

 それに応えた彼の6名の仲間達が、3方向に散っていった。

「くそ、逃がすなっ!」

 残る4人の黒服のうち3人がひとりづつ、それぞれのペアを追いかけて行った。


 悠然と走り去ろうとする、ロールスロイスを追いかけるため。

 意見を曲げない父親に、強引に連れ去られようとしているローハンを救うため。

 秋葉原を愛する仲間達が、緊急発進するのだった。



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