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『納付書を握りしめたまま異世界に転生した男は、期限までに帰ってこれるのか』  作者: 南蛇井


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シーン9:小さな変化

朝の宿屋は、静かだった。


鐘は鳴っている。

だが、廊下に人影はない。


布団の中で、誰かが寝返りを打つ音がする。

起きなければならない理由が、

ほんの少しだけ、先送りにされた。


主人は帳簿を閉じ、外を見る。


「……今日は、遅いな」


それ以上は言わない。


冒険者ギルドでは、報酬袋が渡されていた。


冒険者は、その場で袋を開く。

一枚、二枚、三枚。


数える。


減っていないことを確認する。

増えてもいない。


ただ、合っている。


袋を結び直し、腰に下げる。


顔色は変わらない。

歓声も、拳も上がらない。


だが、誰も急いで立ち去らなかった。


市街地の商店。


商人は、掲示板の前で足を止める。


値段の横。

税目の下。


そこに、小さく刻まれた文字を見る。


――納期限。


指でなぞり、日付を確かめる。


「……まだだな」


それだけ言って、店に戻る。


焦りも、安心もない。


ただ、時間が、区切られていることを

知っただけだ。


街は、変わっていない。


建物も、制度も、人も。


だが、どこかで、動きが緩んでいる。


誰も叫ばない。

誰も祝わない。


革命は起きていない。


ただ、世界が――


少しだけ、息をつくことを

思い出した。

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