シーン6:役割の変更
評議場に、告知文が浮かび上がる。
簡潔で、装飾はない。
「税目官職は、廃止しない」
一瞬、空気が揺れた。
続いて、二行目。
「職務内容を変更する」
「新職名:制度管理官」
ざわめきは起きなかった。
誰も声を荒げない。
だが、視線が交錯する。
税目官たち──
ゲンセン・シュウゼイ、
エンタイ・キン、
ツイチョウ・チョウシュウ、
フクシ・コウセイ。
それぞれが、制度盤を見つめていた。
戸惑いは、確かにあった。
徴収。
管理。
調整。
それまで彼らは、
「取る側」として存在していた。
だが、提示された役割は違う。
制度を維持する者。
終わりを管理する者。
説明する責任を負う者。
奪う仕事ではない。
裁く仕事でもない。
考える仕事だった。
ゲンセンは、ゆっくりと息を吐く。
「……整える、のは同じですな」
エンタイは、帳簿を閉じる。
「時間を、止める瞬間が必要になる」
ツイチョウは、自分の手を見下ろす。
「軽くする前に、確かめる……か」
フクシは、少しだけ眉を下げた。
「同じでなくても、いい場面を……考えるんですね」
誰も、拒否しなかった。
異議も出なかった。
それは、
追い出されていないからだ。
制度は、彼らを切らなかった。
過去の運用も、
判断も、
否定しなかった。
ただ、役割を変えただけだ。
徴収する者から、
制度を扱う者へ。
卓也は、その様子を静かに見ていた。
制度が変わる時、
誰かが犠牲になるのが、当たり前だと思われている。
だが今回は、違った。
切られたのは、人ではない。
やり方だけだった。
制度は、
人を守るために、
人を使い捨てなかった。
それが、この再配置の、
一番静かな変化だった。




