表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『納付書を握りしめたまま異世界に転生した男は、期限までに帰ってこれるのか』  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/76

シーン6:役割の変更

評議場に、告知文が浮かび上がる。


簡潔で、装飾はない。


「税目官職は、廃止しない」


一瞬、空気が揺れた。


続いて、二行目。


「職務内容を変更する」

「新職名:制度管理官」


ざわめきは起きなかった。

誰も声を荒げない。


だが、視線が交錯する。


税目官たち──

ゲンセン・シュウゼイ、

エンタイ・キン、

ツイチョウ・チョウシュウ、

フクシ・コウセイ。


それぞれが、制度盤を見つめていた。


戸惑いは、確かにあった。


徴収。

管理。

調整。


それまで彼らは、

「取る側」として存在していた。


だが、提示された役割は違う。


制度を維持する者。

終わりを管理する者。

説明する責任を負う者。


奪う仕事ではない。

裁く仕事でもない。


考える仕事だった。


ゲンセンは、ゆっくりと息を吐く。


「……整える、のは同じですな」


エンタイは、帳簿を閉じる。


「時間を、止める瞬間が必要になる」


ツイチョウは、自分の手を見下ろす。


「軽くする前に、確かめる……か」


フクシは、少しだけ眉を下げた。


「同じでなくても、いい場面を……考えるんですね」


誰も、拒否しなかった。


異議も出なかった。


それは、

追い出されていないからだ。


制度は、彼らを切らなかった。


過去の運用も、

判断も、

否定しなかった。


ただ、役割を変えただけだ。


徴収する者から、

制度を扱う者へ。


卓也は、その様子を静かに見ていた。


制度が変わる時、

誰かが犠牲になるのが、当たり前だと思われている。


だが今回は、違った。


切られたのは、人ではない。


やり方だけだった。


制度は、

人を守るために、

人を使い捨てなかった。


それが、この再配置の、

一番静かな変化だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ