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シーン7:「転生時一時所得税」の説明
徴税官は、卓也の反応を待たずに話し始めた。
「転生とは、新しい人生を得ることです」
淡々とした声。
そこに疑問を挟む余地はないようだった。
「人生は、この世界において資産と見なされます」
卓也は黙って聞いている。
「よって、新たに得た人生は課税対象となります」
徴税官は机の下から一枚の書類を取り出し、窓口の上に置いた。
「こちらが、転生時一時所得税の申告書です」
「一時所得として、こちらにご記入ください」
書類は、見慣れた構成をしていた。
項目、枠線、注意書き。
言語は違うはずなのに、意味は分かる。
卓也は、しばらくその紙を見つめた。
理屈は、分からなくもない。
転生が特別な出来事であるなら、
それを資産として扱う発想も、理解はできる。
だが。
胸の奥に、小さな違和感が残った。
それが何なのかは、まだ言葉にできない。
ただ、この説明のどこかが、
静かに引っかかっていた。




