表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『納付書を握りしめたまま異世界に転生した男は、期限までに帰ってこれるのか』  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/76

シーン3:実装

制度盤が、静かに回転した。


紙をめくる音はない。

魔力の奔流も起きない。

ただ、巨大な魔導書類台の中央に、新しい語が刻まれていく。


「納期限」


それは命令ではなく、注釈に近い文字だった。

だが、刻まれた瞬間、世界の挙動が変わった。


遠景。

市街地の掲示板に、薄い光が走る。


これまで税目と税率だけが並んでいた欄に、見慣れない行が追加される。

日付。

数字。

区切り。


それを見て、誰かが声を上げることはなかった。


騒ぎも、歓声もない。


だが、人々の視線が、そこで止まった。


帳簿の世界では、もっと静かな異変が起きていた。

増え続けていた数字が、ある行で止まる。

加算の魔導式が、完了の符号を返す。


止まるという現象そのものが、これまで存在しなかった。


税は積み重なり続けるものだった。

払っても、払わなくても、次が来る。

終わりは想定されていない。


だが今、初めて「ここまで」という線が引かれた。


市民は理解していない。

制度として、まだ飲み込めていない。


それでも。


掲示板を見上げたまま、立ち去らない者がいた。

帳簿の前で、指を止める職員がいた。


誰も何も言わない。


ただ、世界の中に――

止まる瞬間が、生まれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ