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シーン7:答えが出ない
ザイゼルは、口を開きかけた。
反論の言葉は、いくつも思い浮かぶ。
秩序。
平和。
再発防止。
どれも、正しい。
どれも、否定できない。
だが――言葉にならなかった。
机の上の納付書から、視線を離せない。
そこには、終わりが書かれている。
期限。
完了。
区切り。
自分が築いた税制には、それがない。
重く、細かく、終わらせない。
それが平和だと、信じてきた。
室内が、静まり返る。
帳簿をめくる音もない。
時計の音も、存在しない。
税は、秩序を作った。
だが、終わりを忘れた。
払えば終わる税を前に、
魔王は、初めて黙った。
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