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◆ 第6話 魔王財務大臣編 魔王財務大臣編『税とは、秩序だ』 シーン1:魔王の執務空間
中央財務府《秩序殿》は、静かだった。
音がないわけではない。
だが、あらゆる音が削ぎ落とされ、必要最低限だけが残っている。
足音は吸い込まれ、呼吸さえも目立つ。
天井は高い。
高すぎて、見上げても終わりが分からない。
装飾はほとんどなく、あるのは壁一面に刻まれた年表だけだった。
――戦争停止。
――内乱終結。
――財政安定。
文字は大きくも小さくもない。
誇るでも、脅すでもなく、ただ事実として並んでいる。
卓也は、そこに立って思う。
威圧感は、ない。
怒鳴られる気配も、裁かれる気配もない。
それでも、この場所から逃げ出したいとは思えなかった。
逃げ場がないのではない。
逃げる理由が、見つからない。
ここは、裁く場所ではない。
誰かを断罪するための殿堂でもない。
ここは、ただ――
定める場所だ。




