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『納付書を握りしめたまま異世界に転生した男は、期限までに帰ってこれるのか』  作者: 南蛇井


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シーン11 制度の小さな変化

フクシ・コウセイは、深く息を吸ったあと、顔を上げなかった。


宣言は、しない。

改革を語る声も、理念を掲げる言葉も、ここにはない。


彼はただ、帳簿の端をめくり、隣にいた書記へ短く告げた。


「……一律税率。再検討に入れてください」


それだけだった。


書記は一瞬だけ目を見開き、すぐにうなずく。

慣れた手つきで、帳簿の構成を変えていく。


新しい項目が、静かに追加された。


――減免。


見慣れない欄。

だが、異物としては扱われない。


そこには、まだ数字がない。

理由も、基準も、記されていない。


空欄のまま。


フクシは、その空白を見つめた。


「……使われないかもしれませんね」


独り言のように、そう言った。


卓也は、その言葉を否定しない。

肯定もしない。


ただ、その空欄が「存在している」ことを確認する。


同じ数字が並んでいた帳簿に、

初めて、違いを受け入れる余白が生まれた。


まだ、何も変わっていない。

だが、変えられる場所ができた。


小さく、音もなく。

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