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シーン7 核心の問い
卓也は帳簿を閉じ、音を立てないように机に戻した。
顔を上げる。
フクシ・コウセイの穏やかな笑顔は、そのままだ。
声は低く、平坦だった。
「払えない人は、どうなりますか」
問いに、角はない。
糾弾でも、挑発でもない。
ただの確認だった。
部屋の空気が、わずかに止まる。
フクシはすぐには答えなかった。
困った様子も、怒った様子もない。
笑顔のまま、瞬きを一つする。
椅子の高さは同じ。
机の位置も揃っている。
それなのに、その一言だけが、均衡をずらした。
卓也は、それ以上何も言わない。
待つでもなく、急かすでもなく。
ただ、答えが来るのを待っていた。




