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シーン4 第四税目官 フクシ・コウセイ登場
福祉税務局の相談室は、やけに明るかった。
窓から入る光は均等で、影を作らない。
並べられた椅子は、すべて同じ高さ。
机の位置も、角度も揃っている。
座る場所によって、見える景色が変わらない。
無駄な装飾はない。
だが、冷たくもない。
そこに座っていた男が、卓也に気づいて立ち上がった。
動きは穏やかで、急がない。
服装も質素だが、清潔感がある。
胸元の名札。
――第四税目官
――フクシ・コウセイ
男は、柔らかく微笑んだ。
「同じなら、安心です」
それが、最初の言葉だった。
挨拶でも、確認でもない。
理念を、そのまま差し出すような一言。
卓也は、部屋を見回す。
同じ高さの椅子。
同じ距離の机。
同じ明るさ。
違いが生まれないよう、丁寧に整えられた空間。
フクシはその視線を追い、満足そうに頷いた。
ここでは、誰もが同じ位置に座る。
同じ目線で話す。
それが安心だと、
この男は本気で信じていた。




