シーン2:受付の説明
徴収庫の奥、低いカウンターの向こうに受付があった。
木と石で作られた簡素な窓口。帳簿と計測具が整然と並んでいる。
卓也が近づくと、受付係は顔も上げずに口を開いた。
「装備、体力、技能はすべて財産として扱われます」
抑揚のない声。説明というより、確認事項の読み上げだった。
受付係は帳簿を一枚めくる。
「財産は評価額に応じて調整されます」
「基準値を超えた分については――」
指先で、帳簿の一行を示す。
「過剰分をお預かりしています」
卓也は黙って聞いていた。
“没収”という言葉は出てこない。
受付係はそれを察したのか、淡々と付け加える。
「差し押さえではありますが、没収ではありません」
「あくまで一時預かりです」
その言い方は丁寧だった。
奪っているという自覚は、どこにもない。
「必要と判断されれば、再配分されます」
「戦力の平準化、事故防止のためです」
事故、という言葉だけが、わずかに強調された。
卓也は視線を落とし、自分の手を見る。
握った拳に、力は入る。だが、確かに軽い。
「評価額は――」
卓也が口を開きかけると、受付係は先回りするように言った。
「装備の性能、使用者の熟練度、戦闘実績、危険度を総合して算出されます」
「自動ですので、ご安心ください」
自動。
その一言で、話は終わる。
卓也はそれ以上、何も言わなかった。
ただ、帳簿の端に並ぶ数字と、“一時預かり”という言葉だけが、頭の中に残っていた。




