表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『納付書を握りしめたまま異世界に転生した男は、期限までに帰ってこれるのか』  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/64

◆ 第4話 第三税目官編 第三税目官編 『軽くなりましたね』 シーン1:徴収庫の朝

石造りの天井が高く、朝の光が細い帯になって床を照らしている。

ここは装備管理局――通称、徴収庫。


冒険者たちはいつも通り集まっていた。

鎧を身につけ、剣を腰に下げ、盾を背負う。

見た目は何一つ変わらない。


だが、動きが妙に軽い。


一人の冒険者が、準備運動のように剣を振る。

刃は空を切り、鈍い金属音が返ってくる。


――カン。


響きが浅い。

叩いたはずの空気に、手応えがない。


別の冒険者も、何気なく剣を持ち替える。

持ち上げた瞬間、わずかに首を傾げるが、それ以上は気にしない。

「こんなものだ」と、体が勝手に納得している。


鎧の擦れる音も、どこか軽い。

金属同士が触れているはずなのに、重さが途中で抜け落ちている。


重いはずのものが、重くない。

だが、誰もその違和感を口にしない。


ここではそれが普通だった。


卓也は、少し離れた場所からその光景を見ていた。

冒険者の手元、剣の軌道、音の質。


――軽すぎる。


力が足りないわけではない。

技量が落ちたわけでもない。


重さそのものが、最初からそこにない。


誰も気づいていないのではない。

気づく必要がない世界になっている。


徴収庫の朝は静かだった。

誰も怒らず、誰も疑わず、ただ軽い装備を身につけて、次の仕事に向かう準備をしている。


金属はそこにある。

だが、重さだけが、きれいに抜き取られていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ