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シーン5:事前課税の理屈(ゲンセンの説明)
順番が近づいた卓也に、
ゲンセンは顔を上げて説明を始めた。
「冒険者の報酬というものは、
依頼が完了した時点で、ほぼ確実に発生します」
指先で、書類の端を揃える。
「不確定ではありません。
だから、受け取る前に整えるのです」
声は穏やかで、
説得しようという響きもない。
「金を持ってから考えると、感情が入りますから」
当然の前提のように、そう言った。
「怒りや不満が先に立つ。
それを避けるために、先に処理する」
ゲンセンは、卓也を見る。
「混乱は、未然に防ぐものです」
その言葉には、
制度を守ってきた者の自負があった。
卓也は、何も言わずに聞いていた。
理屈としては、通っている。
だが――
どこかで、線がずれている。




