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シーン2:コンビニへ向かう道
夜風が少しだけ涼しかった。
卓也は上着のポケットに手を入れ、歩く速度を緩める。
通りの向こうに、コンビニの白い明かりが見えた。
あの光を目印に歩くのは、もう何度目か分からない。
右手には、折らずに持ったままの納付書。
スマートフォンではなく、紙だ。
電子決済もできるが、今日はそれを使う気にならなかった。
歩きながら、特に深いことは考えていない。
――ポイント、付いたかな。
――この時間なら、レジは空いているだろうか。
それくらいだ。
自動車税のことは、頭の隅にもなかった。
払う理由も、意味も、改めて考える必要はない。
請求が来て、期限があって、払えば終わる。
卓也にとって税金とは、
生活の中にある、数ある用事の一つに過ぎなかった。
コンビニの自動ドアが見えてきた。
もう少しで、今日の用事は片付く。
そのはずだった。




