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シーン3:卓也の観察
卓也は、列の後ろに立っていた。
腕を組むこともせず、
表情も変えない。
前で起きているやり取りを、
ただ見ている。
十枚と言われた報酬が、六枚になる。
別の冒険者は、八枚。
次は、五枚。
誰も騒がない。
卓也も、口を挟まない。
ただ、頭の中で数だけを並べていた。
――一定じゃない。
控除の割合が、揃っていない。
条件も、基準も、見えない。
その場その場で、違う。
計算式がないのではない。
あるはずなのに、説明されていない。
卓也は、前を見たまま、静かに思う。
これは感情の問題ではない。
時点の問題だ。




