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◆ 第1話 『転生者、まず申告』シーン1:手続き終了後
書類の説明が一通り終わったところで、徴税官は卓也に小さな札を差し出した。
金属製の薄い板だ。
表面には、読めない文字と番号が刻まれている。
「仮滞在許可証です」
声は相変わらず事務的だった。
「市民登録が完了するまで、外でお待ちください」
それだけ告げると、徴税官はすでに次の書類へ視線を戻していた。
卓也の存在は、処理済みの案件になったらしい。
卓也は特に抗議もせず、許可証を受け取る。
軽い。
それが何を意味するのかは分からないが、
ここではこれが身分証なのだろう。
言われたとおり、出口へ向かう。
誰も止めない。
誰も見送らない。
扉の前で一度だけ振り返り、
無数の窓口と書類棚を見渡す。
この世界では、
何より先に申告がある。
それが終わらなければ、
次には進めない。
卓也は何も言わず、
扉を押し開けた。




