8. 初めての結婚
翌日、僕はかなり寝坊をして、昼近くに目覚めた。
僕の傍ではミーナがまだ寝ている。
改めてその寝顔を見て昨晩のことを思い出す。
ミーナはメガネの感動と興奮のせいか、昨夜はずっと大攻勢・・オホン、僕は異世界初日に全ての幸運を使い切ったのではないだろうかと疑いたくなるような一夜だった。
そして僕につられたようにミーナも目を覚ます。
「おはよう」
僕は少し照れながらミーナに挨拶をする。
ミーナも
「おはよう」
と挨拶を返し、傍のメガネをかける。
「良かった。夢ではなかったのね」
美女の満面の笑みに僕は思わず
(神様、ありがとうございます)
そう心の中で神様に感謝していた。
その後、遅い朝食をミーナと共にした。
まだ感動の余韻に浸っているミーナは饒舌になっており、色んな話を聞くことができた。
これからの生活に必須とも言える、この世界のこと、人や魔族のこと、そしてミーナのこと・・。
ミーナの出身であるアークガーデン国は、どちらかと言うと小国に属するそうだ。
それなりの文明や経済をもつが、単独で大国に対抗できる程の力は持っていない。
戦国時代で例えると、独立国でありながら、実質的には織田家の配下であった頃の徳川家と言ったところだろうか?
ミーナの家は、王族の分家筋とのことだった。
王位継承権は持たないが、代々重臣として王家を支えてきた家だそうだ。
特にミーナは子供のから利発で周囲からの期待も大きく、魔法の訓練と勉強に励んできたそうだ。
実際、勉強は大きな成果を挙げており、国でも有数の魔法学者であった。
ところが魔法の実践が問題だった。
魔法はその性質上、遠距離での狙撃がメインになるのだが、ミーナは強度近視のため、まともな狙撃ができなかったのだ。
さらにミーナは優秀な魔法の研究者であるため、その魔法は強力な威力を誇ったことが、皮肉にもそれが更なる仇となった。
例えるなら誤爆の多い重爆撃機といったところだ。
「皆殺しのミーナ」
それが彼女の異名となり、絶望した彼女は視界を回復する術を探して旅に出たのだった・・。
「ねえマコト、あなたはこれからどうするの」
ミーナに聞かれて僕は腕組みをして考える。
「うーん、何か明確な目的があって旅をしていたわけではないからなぁ」
そう、神様には
「神託が下った時以外は、好きに暮らして構わない」
と言われているのだ。
生活を考えると、スキルを活かしてメガネ屋を開くのが無難だが、まだこの世界のことを知らなさすぎて、それは時期尚早と判断していた。
悩む僕にミーナは言う。
「なら私と一緒に村を作らない?最初の村民は私と貴方という新婚夫婦で」
僕は世界最速の男ボ◯トもかくやという速度で返事をする。
「はい、喜んで」
結婚は勢いだ
それは、これまで45年間独身だった僕の、魂から叫びだった。
しかし同時に疑問も湧いた。
「実家には帰らないの?」