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7. 初めての夜

ミーナに連れられてきたのは、大きな森の真ん中にある小屋だった。


かなり大きな森なので、ミーナのように飛べなければ来ることは難しい場所だった。


どう考えても貴族が住むのに相応しい場所ではない。

何か事情があるのだろう。


ミーナはその小屋の前に着地し、僕を降ろす。


「さあ入って。遠慮はいらないわ」


そう言われて、僕は小屋に入った。

小屋の中は台所、リビング、それから2つほど部屋があるようだった。


綺麗に片付いているが、1番奥にある部屋は、扉の隙間から水晶やら蛇の瓶漬やら怪しいものが積み上がっている様子が見えた。

錬金術の研究でもしているのだろうか?


「さて、ここならどう?」


ミーナの言葉に改めてリビングを見渡す。

この小屋の構造的に、リビングは1番広そうな部屋であり、3メートルの視力測定であれば問題なく行えそうだった。


僕は早速スキルで検査に必要な道具を取り出し、ミーナのメガネの調整を始める。


場所がリビングという以外は、眼科でやることと全く同じだ。

いや、医師のチェックがないということも異なっているか。

だが、僕にはスキルで眼科医の知識があり、しかもここは異世界だ。

経験が重要な手術でもしない限り、気にしなくてもいいだろう。


メガネの調整は10分もかからずに終わった。

調整は長引くと目が疲れて狂う確率があがるので、手早く終わらせる、これが僕の方針だ。


よほど視界がクリアになったことが嬉しかったのだろう。ミーナは眼鏡を摘みつつ、クルクル回りながら部屋のあちこちを見てニコニコしている。


検査員としては至上の光景だ。

しかもどえらい美人というおまけ付き、思わず僕の顔もニヤけてしまう。


「私はお前のようなスキルと技術を持つ者をずっと探していた。感謝します」


まだ興奮の覚めやらぬ表情でミーナに礼を言われる。


「いえいえ、これが私の特技ですからね。喜んでもらえたなら何よりです」


こんなに喜んでくれているのだ。

こちらまで嬉しくなってしまい、こんな謙遜もスラスラ言えてしまう。


「フフ。奥ゆかしい男ね。でも、ここまでの感動をくれた貴方にお礼をしなかったら、私にとっては末代までの恥ね」


そう言うとミーナはパチンと指を鳴らした。

途端に僕の身体、特に股間が熱くなる。

・・一体何が起きた?


「今のは魅了と言う魔法よ。今夜は一緒に楽しみましょう」


そう言うとミーナは僕の隣に座り、しなだれかかってきた。


たちまち僕の理性と本能が激突、そこでは関ヶ原も裸足で逃げ出すような激戦が繰り広げられた。


しかしミーナに


「私では嫌?」


そう上目遣いで囁かれると、僕の理性はその一撃で轟沈した。


「とんでもございません、姫様」


そうカッコつけて言うのが精一杯の抵抗だった。


今度は僕がミーナをお姫様抱っこして、寝室へと消えていったのだった・・。



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