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久しぶりに再会した小学時代の友達に「再会記念に付き合わない?」と言われた件について  作者: 有原優


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第56話 過去

 

 そして俺たちが戻るとそこには二人で楽しく遊んでいる朱音と仁の姿があった。

 二人仲睦まじそうにしているのを見て、良かったなと思う。


「あれ、二人一緒にいるの?」


 そう、秋根が言った。

 そうだった。

 完全に忘れていた。この二人は合わせてはいけなかったという事を。


「ちょっと遊星くん、どういう事です? なんであの二人が会っているのですか?」


 まさに怒りに満ちた表情だ。気に入らないのだろう。

 俺たちが秋根に内緒で仁と朱音ちゃんを合わせようとしたことが。


「なんで仁のことを気に入らないんだ?」

「そ、それはなんとなくだけど」


 だが、ならいいじゃねえかとは気軽には言えない。何しろ女の勘は鋭い物だと勝手に思っているからだ。

 勿論俺は仁を信じているし、秋根の女の勘は外れていて欲しいと願っている。


「秋根」


 俺は秋根の肩を掴む。


「俺は仁を信じている。それでもだめか?」

「嫌っていう訳ではないのです。それでも……」


 それでも納得できないわけか。


「分かった」


 俺はそう言って。


「俺に任せてくれ」


 そう秋根に言い切った。


 そう言えば俺は仁のことをあまり知らない。

 仁のことを知っているのは、仁と一緒にいた時からだ。

 思えば仁は過去をあまり語りがるようなことはない。


 仁には人に言いにくい過去があるのだろうか。

 虐められていた、もしくは人を虐めていた過去みたいなものがあるのだろうか。

 それとも親の離婚、親が犯罪、色々と可能性はある。

 もしくは秋根が間違っていて、仁が過去を話したがらないのは、ただ話す必要がないからとも考えられる。


「仁、少しいいか?」


 俺は意を決して話しかけに動いた。

 理由はただ一つ。もう、秋根のあの顔を見たくないからだ。


「遊星じゃないか、どうしたんだ」


 仁はそう言ってから「朱音さん少し待っててくれないか?」と言って俺の元へ来る。


「はいっ!」と頷く朱音ちゃんの顔を見ると中々上手く行っているようだ。


「すまん、見てわかる通り、秋根にばれた」

「げっ、それどうするんだよ」

「たぶん秋根に信用してもらわないと何とかして仲を裂こうとするぞ」

「それは困ったな」

「いい方法がある。過去を話してくれ」

「俺の過去……」

「ああ、秋根はお前の過去を疑ってるから」


 これはあくまでも嘘だ。

 秋根は人間性の方を疑っている。

 過去を疑っているのは俺の方だ。


 ただ、仁が何もないと言ってくれればそれでしまいの話だ。


「俺は……」


 仁は呟く。そして唇を強く噛み、「言えない」と言った。

 おいおい、まさか俺たちに言えない程の重い過去があるっていう事か。


「それは朱音ちゃんにも言うつもりはないのか?」


 そう言うとまた押し黙った。


「これは俺が言わない限り終わらない話なのか?」

「少なくても俺はそう思っている。少なくとも秋根には嫌われた萬田氏、俺もお前と一緒にいられるとは限らなくなる」


仁には悪いが、俺は秋根優先で動く。秋根が仁との縁を切らなければカップル解消と言ってきた場合、俺は秋根に従わねばならない可能性が出て来る。

その場合は悪いが、仁とはサヨナラだ。


 すると、また仁は考え込む。


「分かった、あとで話すよ」


 そう、仁は言ってくれた。


 そして文化祭が終わった後、俺は秋根にわかれを告げ、仁と帰ることとなった。


「それで、過去の話を聞かせてくれないか?」

「ああ、……竜胆さんの疑いは間違ったものではないんだ。というのも俺はいじめをしていたんだから」

「いじめ……」


 予想が当たった。その反面、少し悲しく思う。

 虐めというのはあまりいや、全然よくはない物だからだ。


「俺はあの時は無意識だったと思う。小学生だったから許されるっていう訳じゃないけど、悪戯の延長戦みたいな感じでいじめをしていたんだ。たぶん漫画で見るほどの悪質なものじゃないと思うけどな」


 俺が言えることではないけど、と仁は付け加える。





 俺は家に帰ってからその言葉を噛みしめる。


 仁曰く、その相手に言われたそうだ。

 苛めだよそれって。


 それを聞いて、仁は動揺したそうだ。

 そして罪状をつらつらと言われ、もう耐えきれなくなったそうだ。

 そして謝罪して結局疎遠になった。


 その時に仁は行っていた。

 俺は、無意識に人を虐めるようなやつだと。

 俺はその言葉に対しての慰めの言葉をいう事が出来なかった。


 心当たりがあったが嫌われるのが怖くて言えなかったそうだ。



 秋根に嫌われた理由。

 虐めにつながる行為をしていたから。それも無意識に。

 これを秋根に伝えるべきなのか、伝えないべきか。

 仁はそれは俺の判断に任せると言っていた。だが、それはそれで困る。


 秋根には伝えるべきなのか否か。


 言うべきではない、しかし言わなければ秋根の気はすまないだろう。

 全く何なんだよ一体。

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