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オリハルコンの女~ここから先はわたしが引き受けます、出来る限りではありますが~  作者: 五十嵐 あお


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とうとう今日から12月。どこまで投稿出来るか分かりませんが、短くても書きたいなぁとは思っています。

ハーヴァンに対するナーサのどや顔は夕食中も続いた。

実はいい年齢の薫だが、恋愛経験は著しく乏しい。皆無に等しかったので、悪い男に引っ掛かったという言い換えが出来るくらい。

なので、ナーサの表情を明後日の方向に解釈し始めた。自信ある女子が『わたしを見なさい、そして好きになりなさい!』という表情を浮かべているのだと。


けれどハーヴァンは、ジョイスからの期限付きレンタルのようなもの。いつまでもここに居るという訳にはいかない。好きになっても実を結ばない相手だ。周囲にはこれだけ良い男がいるのに、どうしてそこなのかと薫はナーサに聞きたくなってしまった。しかし、以前の薫も似たようなもの。そこだけは止めたほうが良いと分かっていても、恋は盲目、突き進み続けてしまうものなのだ。


大好きなナーサ。出来れば恋を応援したい。リプセット公爵家でジョイスの従者をしているくらいだ、ハーヴァンの人間性は裏を取る必要などないだろう。障害は、今後訪れる距離だけだろう。


これは本格的に馬用の施設を造る計画を進め、ゆくゆくはハーヴァンに来てもらうべきだと薫は考えた。ジョイスもはっきりとハーヴァンはその内仕事を失くすと言っていた。ここに魅力的な施設を造ればハーヴァンがやって来る可能性はゼロではない。


因みにナーサがどや顔をしているのは、スカーレットが望む楽しい生活を自分が提供しているのだとハーヴァンに誇っていたから。当然それを薫が知る由もなく、施設は誰に相談したらいいか考えながら微笑みを浮かべていたのだった。



夕食の後はその日のことや今後のことを伝え合う為にお茶を飲む。これがこのファルコールの館でのいつもの流れだ。

「今夜からはハーヴァンも参加して。但し、体が辛くなければだけれど」

「わたしもですか?」

「勿論、ここで一緒に働くのだから情報は共有しておかないと」


オリハルコンのお局時代、『大神さん、いらしたんですか。ごめんなさい、気付かなくて』、『これ、皆さんでっていただいたんですけど、大神さんはこんな安っぽいものお口に合いませんよね』などと度々『みんな』から外された薫。知らせなければいいものを、わざわざ口にするのは疎外感を与えたいから。そんなことは分かっている、だから何も言わなかった前世。常に、大切な情報を伝え忘れられていないかセンサーを働かせながら会社の為に尽くしてきた。

自分で自分を擁護するようだが、薫は仕事以外の何かを彼女達に言うことはなかった。でも、面白くない存在、口うるさい存在、なっちゃんにとっては邪魔な存在と様々な要因が重なっていたことは事実だ。


ケビン達がハーヴァンに対しジョイスの従者だからと疎外感を抱かせるようなことはしないだろう。けれど、何よりも大切なのは主である薫がハーヴァンを温かく迎え入れている姿勢を見せること。過ごし易い環境を整えれば、気持ち良く働いて貰える。情けは人の為ならず、まわりまわって薫の利益になるのだから。



「ナーサ、今日はハーブティにしましょう」

「キャロルの好きなあれですね。ハーヴァン、あなた、ハーブティは大丈夫?」

ナーサの言葉を()()()()()()()()、『わたしはスカーレット様の好きなものをちゃんと知っているわ。ハーヴァン、あなたも同じものを飲む気なの?』だろう。しかし、薫はナーサがハーヴァンに恋をしていると絶賛勘違い中。だから『特別に声を掛けるなんて、分かり易い』と思ったのだった。


ありがとうございました。

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