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オリハルコンの女~ここから先はわたしが引き受けます、出来る限りではありますが~  作者: 五十嵐 あお


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王宮では15

政略結婚を整える、父からの命にアルフレッドは背景を探るべく渡された資料に目を通していた。と同時に、アルフレッドが婿決めをすることにどのような父の思惑があるのかを考えていた。政略結婚を土壇場で台無しにした王子に命じることで。


スカーレットとの政略結婚は本当に良く考えられていた。尽力してきた者達の全てを水の泡にした張本人であるアルフレッドは今更ながらにそれを痛感している。


隣国との安定した国境線管理に交易。それはこの国に、安全と生活に欠かせない物資の供給をもたらし続けていた。

良い関係を築いている隣国だからこそ、両国をつなぐ街道を安心して整備出来ていたのだし、整備が上手く進んでいたから交易も栄えていたというのに。

その鍵となる大切な婚約者を恋という気持ちの昂りだけで、アルフレッドは公衆の面前で貶め排除したのだ。

あの時、何故あんなにも気持ちが昂っていたのか今は分からないが、不思議な感覚に陥っていたことだけは微かに覚えている。こうすることが正義だと思えていた誰かに背中を押されるような不思議な感覚。

しかし、王族としての本当の正義に気付いた今、アルフレッドは父の命に最善を尽くさなくてはならない。それがまた一人、幼い頃からの友人を遠くへ送ることになったとしても。


父のあの言葉は誰を選ぶかの手掛かりだ。アルフレッド同様、政略結婚の重要さを思い知った者を選べという。選ばれるだけで、何も言わずともその重要性を説くことが出来る者に白羽の矢を立てろというメッセージだ。そして選ばれた者は失敗を取り返す為に、必ずその命を受け入れ努力する。

そんな者は二人しかいない。ジョイスかテレンス。


アルフレッドの側近のどちらかを末姫の婿に差し出すということは、この国がそれ程相手国のことを思っているというポーズになる。但しそれは二人が側近から外されてからでは意味がない。

父はアルフレッドが情に流されることなく、資料と照らし合わせた上で早々に一人を選べと言っているのだ。どこまで側近を駒として扱えるか、切り捨てられるか試しているのかもしれない。


簡単にスカーレットを切り捨てたように、今度はどちらか一人を彼の国へ送ればいい。

ただ選ばれた方はスカーレットとは事情が異なる。行く先は国内ではなく、遠く離れた国。簡単には祖国へ戻ることは出来なくなるだろう。否、シシリアのように国内にいても、王都へ戻ることが出来ない者もいる。

私情を優先させたことのツケをアルフレッドはいつまで支払い続けなければいけないのか、それも誰かに肩代わりさせて。



『いいな、アルは。あんなに可愛いスカーレットを将来お嫁さんに出来て』

『ジョイスはスカーレットが好きなんだって』

『言うなよ、テレンス!』

『好き?じゃあ、良かったな、俺の側近になれて。だってジョイスはスカーレットの傍にもずっと居られるだろ』


子供の頃の何気ない会話がアルフレッドの脳裏を過る。それは、ジョイスの初恋相手がスカーレットだと思い出させてくれるもの。しかしその初恋は直ぐにどこかへ行ってしまった。どうしてか分からないがアルフレッドはジョイスにある日言われたのだ、『もうスカーレットは好きじゃない』と。ジョイスにしては珍しく泣きそうな、それでいて悔しそうな顔で。あれは誰かに言わされたのだ、本心と真逆なことを。


そう、今に始まったことじゃない、周囲の者がアルフレッドの為に何らかの犠牲を強いられるのは。でも、それは国の為。国と個人の初恋、どちらが優先されるのかなど比べるまでもないことだった。


アルフレッドは再び資料を手にし、細部まで読み返した。

そして、国の為の選択をし、その家の当主に許可を貰うべく手紙を書き始めたのだった。

この場をお借りしてお詫びを。

この話は進みがとても遅いです、ごめんなさい。

言い訳としては、書いてる本人も何人か暗殺してしまおうかと思う程登場人物がいること、そしてそれぞれが別の場所にいることです。しかも考えていることも様々で…


気長にお付き合いいただけると嬉しいです。ついでに恋のお相手は誰なのと推測していただけるともっと嬉しいです。何度も書きますが、カテゴリー詐欺にはしないつもりです。自信がなくなった時はこそっと、変えるかもしれませんが…


そして、今日でわたしの今月の目標、毎日投稿が達成されました!来月はバイトが忙しくなると思われます。

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