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この日の夕食のメインは唐揚げの甘酢あえ。唐揚げを只管揚げる作業は手伝って貰えばいいので、案外薫は楽が出来る。
ただ、この料理にも醤油が欲しいところだ。代わりにはならないが、今は赤ワインを煮詰めたものに砂糖と酢を入れてなんとなく似せている。
それにサラミとチーズの盛り合わせと、キノコのキッシュにパン。ついでに昼に作っておいたキャロットラペを添えた。
「まあまあ豪華よね?」
「はい、十分だと思います」
「ナーサは二人が好きではないのね」
「好き嫌いではなく、許せないのです。そして二人ではなく、ジョイさんが」
「ふふ、ありがとう。でも、この食事はジョイさんの送別会用ですもの、多少は豪華じゃないと」
「…」
「もう、ナーサはチャーミングなんだから、ふくれないの」
薫とナーサがそんな遣り取りをしたことなど知らないジョイスとハーヴァンは驚いた。唐揚げの甘酢あえという初めて見る料理に。
「この料理はキャロルが考案したのか?」
考案などという言葉を使われると照れてしまうが、工夫はしているのでジョイスの問いに薫は一先ず頷いておいた。そして会話のキャッチボールをした。
「お口に合うかしら?」
「すごく旨い。また、食べたいくらいだ」
「えっ!」
驚きというか拒絶というかの声をつい出してしまったのはナーサ。ケビンとノーマンは声にはしなかったものの、一瞬不満そうな顔をした。
「いいのよ、お世辞は。ジョイさんはもっと美味しいものを食べているでしょうから」
「いや、本当に、俺は」
「でも、ありがとう。褒めてもらえて嬉しいわ。ところで、明日はランチボックスも用意するから持っていってね」
何だか嫌な展開の話になるといけないので、薫はジョイスとのこの会話を早々に打ち切った。そして、ハーヴァンの体調へと話を切り替えたのだった。
「ハーヴァンさん、ここにいる間は温泉を楽しんでね。いつでも温かいお湯に入れる上に、とっても体にいいの」
「あの、キャロルさん、その温泉は馬にも良いのでしょうか?」
何て良い質問、薫はハーヴァンにこの世界にはない座布団を進呈したくなった。それも三枚くらい。二酸化炭素泉には確か筋肉痛や関節痛への効果効能があったと記憶している。それに昔テレビの特番で馬が温泉でリハビリをしている姿を薫は観たことがあった。
しかし、ハーヴァンへの返しにテレビで観たとは言えない。今回は、昔本で読んだも苦しい気がするし。
「人も馬も動物だわ。だとしたら、馬にも良いかもしれないわね。そうだ、今は未だ無理だけれど、ゆくゆくは膝関節くらいまでは浸かれるような馬用の湯舟を作るのもいいかも。そこでブラッシングや体を洗ってあげれば馬も喜ぶのではないかしら」
「それは良いですね。馬は汚れたままだと皮膚病になるので洗ってあげる必要があるのですが、冬が大変で。ぬるま湯を用意するにも限界がありますからね」
深くは突っ込むことなく、馬の話だけをするハーヴァン。薫は助かったと思うと同時に、ハーヴァンがここにいる間にもっと馬のことを教えて貰おうと考えた。
「ハーヴァン、ここに馬用の施設が出来たら働かせてもらえばいいんじゃないか?」
「えっ?」
「えって、驚くことじゃないだろう、キャロル。俺、昨日言ったように、その内騎士になるからハーヴァンは職を失くすんだ。一応、伝えておくとテレンスも俺のタイミングと同じ時に今の仕事を失う。そういうことだ」
「そう…」
色々大変なことになっているのだと薫は理解したのだった。
昨日の夜投稿分は見直しもせず、アップしてしまいました…、誤字脱字だらけだったらご免なさい。
見直ししていても、誤字脱字は多いのですが…




