表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オリハルコンの女~ここから先はわたしが引き受けます、出来る限りではありますが~  作者: 五十嵐 あお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

672/673

399

贈り物のセンスはなくとも、特定の人物への観察力、そして表面だけではなく洞察力に公爵は優れている。否、そうでなければリプセット公爵家、そしてそれに連なる家門を率いることは難しい。


「スカーレットは年上の頼れるタイプを好むように思うんだ。幼い頃はジェストやジョッシュにとても懐いていたしね。思い出して欲しいエラルリーナ、同い年の殿下は酷くスカーレットを傷付けた、同世代の者達も。勿論この同世代には残念ながらジョイスも含まれてしまう。そしてこのファルコールの館と隣にいるスカーレットに好意を寄せている男性陣の年齢は?ジョイス以外は何となく良い感じに離れている」

「ええ、そうね。それに離れているだけではなく、皆、それぞれ特徴があって、容姿も魅力的だわ」

「ああ。そこにはハーヴァンも加えていいと思う。その理由は簡単だ。彼らは皆スカーレットが必要とする能力を持ち、それをスカーレットの為に無条件に提供出来る。勿論『今は』無条件に、だが。言い換えると、スカーレットと共に過ごす中でそういう関係になっていったということだ。ジョイス以外はね」

「ジョイスは誰よりもスカーレットと共に過ごした時間が長かったというのに…」

「貴族学院でのことを今更悔やんでもどうしようも出来ない。ジョイスは今の様に、改めて関係を構築するしかないだろう。でも、それでは不確実だ」

「不確実?」

「僕の贈り物センスは君が言うように疑わしい。でも、必要なものから外れたことはないはず。そして僕は知っている、君がスカーレットをリプセット公爵家に欲しいと思っていることを。しかし物と違ってスカーレットは売っていない。しかも、クライドは二度と家や政治的安定の為にスカーレットを利用されないようにしている。だから、スカーレットがこちらに興味を持ってくれないことにはその先はない。そこで僕は手持ちのカードをもう一枚オープンすることにした」

「それがジョッシュ、ということね。でもそれではジョイスが穏やかでいられないわよ」

「別に構わないだろう、それくらいの試練は。寧ろその状況で大人の男として振る舞えるくらいでないと。幼い頃のスカーレットはジョッシュによく懐いていた。それが今度は大人の優しさを見せるジョッシュになっていたらどうなるだろうか」

「まあ、あなたは悪い人ね」

「君からそう言われるのは最高の誉め言葉だ」

「ふふ、わたくし当分ファルコールに滞在したくなりそう。勿論出来ないことは理解しているけれど」


公爵は夫人の残念そうな表情に、滞在出来ない代わりにジョッシュから定期的に報告書を取り寄せようと伝えた。勿論新たに伯爵領を治めるのだから、報告は重要になる。ジョッシュも急に役割が変わり、悩むことが増えるだろうし。


「でも、道は直ぐには出来ないわ。だからジョッシュの報告も伯爵領のことばかりではないかしら」

「否、ジョッシュはファルコールにやって来なければならなくなる」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ