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オリハルコンの女~ここから先はわたしが引き受けます、出来る限りではありますが~  作者: 五十嵐 あお


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夫人の説明は分かり易く納得がいくものだった。それは緊張しつつこの場に同席させてもらっているデリシアでも分かるように。否、違う。夫人は何故自分がファルコールにやって来たのかデリシアにも分かるよう説明してくれたのだ。


クリスタルが貴族学院を卒業したばかりの令嬢にとり最も重要な初めての社交シーズンに修道院で奉仕活動をするようになった理由から始まり、今の状況までを。オランデール伯爵家の使用人とはいえ、オリアナはただクリスタルが修道院へ行くという事実しか知らされていなかった。それがある時を境に、社交シーズンの終わりまでが年内に変わったくらい。しかし、そこにはいくつかの理由が複雑に絡んでいる。


クリスタルが最初に修道院へ行った理由は、貴族学院でのスカーレットへの行動を反省する為。問題はクリスタル本人が反省をしていないことだろうと夫人は指摘した。その証拠に奉仕活動としてクリスタルが得意とする刺繍は、実は本人が金で解決していたらしい。デリシアが色々調べられる公爵家は何て凄いのだろうと思うと、そんなことは見越していたかのように『考えることがお粗末過ぎて、調べるまでもなかったわ』と言われてしまったが。そして夫人は時期から推測して、この頃サブリナに贈り物と称した刺繍の依頼をしたのだろうと言った。修道院での生活、どうやって中の人間を使うかを理解したクリスタルが次に考えそうなことだと。


「あなたに贈られたきたものはどれも高級品だったのでしょう。その頃からだったのね、アルフレッド殿下に近付こうと考えたのは。凄いことだと思わない、アルフレッド殿下の元婚約者への言動を反省する為に修道院にいるというのに。まあ、微塵も反省していないのだから仕方ないわね。正攻法で挑むなら、気骨があると思うことが出来たかもしれないけれど」


その微塵も反省していないクリスタルにサブリナの真のメッセージ等届くはずがなかった。寧ろサブリナから刺繍を断られたことで怒りを感じた。だからオリアナの一件に繋がったのだろう。


「ジョイスは学院生時代、クリスタル嬢に追い回されていたから彼女をどう扱うべきかそれなりに知恵があった、何もしないのが一番と。サビィさんから断られてオリアナという元使用人にあなたを連れてくるよう命じる子ですもの、確かにその命に失敗したと報告したらどういう反応をされることか。だからアルフレッド殿下が修道院のバザーの準備を視察された時までは、オリアナさんがサビィさんを連れてくると思っていた。どうして彼女がそう思い続けられたと思う?」

「それがクリスタル嬢の知らなかったことですね」

「クリスタル嬢はオリアナさんが命に従った理由を元使用人とか、自分が伯爵令嬢だからと思ったでしょうね。だから必ず従うはずと。でも、そこに自分の兄への愛があるとは知らなかった。サビィさんがオリアナさんをそのまま帰らせることが出来たのは、自分同様オリアナさんも利用されているだけだと教えることが出来たから。オランデール伯爵家内で、利用されるだけのサビィさんを見てきたオリアナさんならば何かを気付いておかしくない。それにサビィさんとアイリスさんの髪色と瞳は似ていても、オリアナさんは違うとなれば尚更ね」

「夫人、実は一度目はモノを送ってきたクリスタル嬢が、どうして二度目はオリアナさんだったのか気になっていたのですが、そこに大きな意味はなかったのですね」

「偶々でしょうね。クリスタル嬢はオリアナさんが解雇された理由は知らなかったと考えていいと思う。そして、この一度目と二度目の行動の違いも重要よ。クリスタル嬢はセーレライド侯爵家の訪問後修道院へ戻ったけれど、小切手は渡されていない。だから金で解決が出来なくなっているの、しかも滞在が延長されたにも関わらず。それは、オランデール伯爵が怒るようなことがあったから。デリシアさん、その頃じゃないかしら、伯爵家内のピリピリした雰囲気が増したのは」


デリシアはもう頷くしかなかった。公爵夫人は全てを理解した上で、質問を投げ掛けているようにしか見えなかったのだ。


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